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課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第二章
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億ションでの暮らしの為に③

買い物は何時終わるのか、私も分かりません。申し訳ありません。

 乾燥機の種類はそれ程多くなかった。ニコニコスタッフの説明によると、機能も然程大きな違いは無いらしい。

「乾燥機付きシステムキッチンが普及した頃から、お客様の別売されている乾燥機に対するお求めがどんどん少なくなったそうで……、自然、売り場もそれに倣った形になりまして……、」

 何処か伝聞系なのは、次郎程ではないが、若いスタッフ故に直接には乾燥機付きシステムキッチンの出だしを知らないからだろう。

 システムキッチンが初めて登場したのは1970年代だと言う。初めはコンロ、流し、調理台、収納が1つに纏まったものであるだけだったが、時代の変遷と共に様々な機能が付く様になった。乾燥機能もその1つである。

 恐らく30年程前辺りに新築された家では、それが一般的に普及していたのではなかろうか。そしてやがて食洗機が別売で現れ、更に食洗機機能がシステムキッチンに付属される様になっていったのだ。

 そして現代では内蔵された機能のサブ扱いで乾燥機や食洗機を別で買い求める客くらいしか買わなくなって来た、と言う訳だろう。

 そんなシステムキッチンの歴史に然程、興味を持たない次郎はさっさと適当にカードを選ぶ。

(ドライヤーか……、必要か? ………まあ、有るに越した事は無いか。)

 元々、安い床屋でかなりの短髪にして貰い、切りに行く回数と費用を節約していた次郎は、同僚と共用するか、ネットカフェで無料で借りるか、くらいでしかドライヤーを使っていなかった。ドライヤーを使わない時はタオルのみで、それでも十分であった。

 故にドライヤーについては完全に忘れており、彼の買い物リストから抜けていたのだが、乾燥機売り場からドライヤー売り場が見えていたので、スタッフの興味を持てない説明よりも、そっちに関心が行っていた。

(まあ、折角だし、見てみるか。)

 失礼な事に、余り(全く?)聞いていなかった説明をしてくれていたスタッフとは、「悟らせなければOK」とばかりに、何ら罪悪感も抱かずに別れ、ドライヤーの陳列棚に向かう。

(安いので良いや。)

 女性ではないのだから、細かな機能等必要無い。機能が増えたり、最新型に向かって行く度に高くなる値段を見て、そう結論付ける。その売り場で一番安いものを選んでカートに乗せた。

(さて次は、と……。)

 スマホのメモを確認する。家電では掃除機とテレビが残っていた。テレビの方面は分かる。かなり広く場所を取っているので、店舗内のどの位置からも確認出来るのだ。しかしテレビに対して掃除機は不明だ。

(先にテレビに行くか。)

 かなり広く展開しているので、テレビ担当のスタッフの人数もそれに比例しているだろう。捕まえるのは簡単な筈だ。そこで序に掃除機の場所を尋ねれば良いのだ。

(あ。)

 そう思ったが、テレビフロアに向かう途中で、普通に見付けた掃除機フロア。最初に目に付く位置にあったのは、大々的に扱われていた、コード付きのサイクロン式の掃除機である。しかし。

(これは要らない奴だな。)

 ルンバを買う予定の次郎に必要なのはコードレスタイプだ。如何に吸引力が凄かろうと小回りが効きにくいものは要らない。……まあ、コードレスタイプも重さ的には「小回り機能が断然!」とは言い難いのだが。この辺りはCMイメージが先行して、実の処、使用した事がまだない次郎には不明な事である。

 ルンバはロボット掃除機に当たる。ロボット掃除機でない掃除機と比べると高価な代物だ。だからなのかは知らないが、掃除機売り場の中で少し奥ばった処にある。型落ち等は無さげに見える。恐らくはネットの方が見付かるのだろう。


 しかしネットでは商品を直接に見れる訳では無い。


 慣れないネットによる買い物で、触れた事もない商品を選ぶのは中々に勇気がいるものだ。尚、彼がネット通販から遠ざかっているのは、「自身のスマホ保持歴」と「クレジットカードの不保持」の2点に依る弊害が原因である。

 そんな訳で、例え選択肢が少ない為に高価な買い物にならざる得ないと分かっていても、店舗内で商品を選択するのは少なくとも、現段階では変えようが無い。彼は「選択肢が少ないならば」、と長持ちしそうなバッテリー機能が良いルンバのカードを迷い無く抜き取った(他は吸引力とか色々とある)。

 次にコードレスを選ぶ。此方は数があり、型落ちも置いている(只、掃除機に限らず、どの家電商品も型落ちの種類はネットが豊富だろうが、次郎はネット通販を余り利用する気は無い)。一番、安いものを選ぶ事にする。掃除機のカードを手にした次郎は、テレビフロアに再度、向かった。


 画面が大きい。


 映像が綺麗。


 音響が良い。


 付属品も含めてになるが、良いテレビと言うものはこの3点が重要だと、次郎は思っている。後、大体、大きく売り文句にされているのはこの3点だが、その次くらいにテレビ本体による録画時間だとかが言われていると思っている。

 本格的に映画鑑賞に拘るならば、シアター設備にもっと詳しくなるべきだろうが、次郎にそこまでの知識は無い。そもそもが無趣味で、「何か趣味を持とうかなあ」とは思うものの、今までが今までだったので、何を始めるかを考える時間が必要で、この買い物で生かす事は出来ない。

 出来ないが彼なりに「良いテレビ」を求めていた為に、結果的に彼が選んだのは最近販売され出した新製品の有機ELテレビ55インチである。薄型で壁に吊り下げる形となる。勿論、かなり良い値段をしていた。

「因みに此方がオススメのーー、」

 しかしそれだけでなく、捕まえて説明を頼んでいた(今度はそれなりにちゃんと聞いていた)スタッフのオススメに従い、付属品も買う事にする。付属品の中にはそのテレビ専用とも言えるをテレビ台も含まれていたので、迷いなくそちらも購入する事を告げる。セットと記されたカードを渡された。


 家電はこれで終わり。


 次はワゴンの専門店舗だ。また移動する事になる。平面フロア移動だけでなく、エレベーターによる階数フロア移動が必要になる。所要時間は恐らく15分程度だったろうか。本当に見渡す全てがワゴンだらけな店舗を見付けた。

(アホみたいにデカいな…。)

 どうやら業務用商品スペースから入り込んだ様で、幾ら何でも個人宅に必要無い大きさのものだらけだ。興味は無いので、さっさと移動していく。良く見ていれば、○○用とか書かれていた事にも気付いただろうが、注視していない次郎の視界には入っていないのと同様であった。

 暫く歩いていると、天井から下ろされている看板を見付ける。否、看板には気付いていたのだが、次郎の位置が離れていたので、余り文字が読めていなかった。元々、次郎の視力は然程悪くなかったのだが、この5年で大分落ちていた。

 その自覚はあったが、眼科には行かず(行く時間が惜しくなる様な、脳まで疲労する業務状態だった)、会社に置きっ放しの、多分、次郎が入職前に辞めた誰かの近視用眼鏡があったので、それを使っていた(つまりはパクった)。最初から度がピッタリ合っていた訳ではなかっただろうが、更にドンドンと視力は落ちていったので、余計に見えにくかった。近場ならば問題は無かったが、こうした処では困った事になる。

 只、ソレが当然だと何時しか思っていた為、眼鏡の新調に付いては全く気付いていない。切っ掛けが無ければこれからもそのままだろう。

 とにかくも看板の文字が見えて来たお陰で、どちらに向かえば良いかが分かった。看板がしっかり矢印を使い、業務用と一般用の場所を示していたからである。

(一般向け、と一言で言っても色々だな……。)

 業務用と比べると小さいワゴンを見ながら、次郎は思う。欲しいのは炊飯器と電子ポットと電子レンジとオーブントースターが使い易いものだ。それを考えると、細かな機能が付き過ぎても不便になりそうで駄目だし、業務用の様な大きさは必要無くとも、小さなワゴンも向いていない。況してや背の高さも欲しいと来た。

 そんな訳で「アレもコレも何か違う」、とウロウロウロウロウロウロとしていると、スタッフに声を掛けられた。

「お客様、何かお探しでしょうか。」

 次郎からはスタッフに気付いていなかったので、少し驚いたが、直ぐに気を取り直し、探しているワゴンの条件を話す。少し考えたスタッフは「でしたら少々此方でお待ち下さい」と別の方向に向かって早歩きで一度姿を消してから戻って来た。

「飾り気はございませんが……、如何でしょうか。」

 売れ筋ではなく、もう直ぐ別地域の店舗へと回される予定だったワゴンで、売り場からバックヤードへ撤去中であったが、そんな事は匂わさず、カートを滑らせて持ってきた。

「これにします。」

 裏事情も知らぬまま、次郎は即決する。背の高さも含めた大きさが、イメージにピタリとあったからだ。物を乗せる面が長方形になっている処も良い。一列に家電が並べられる。確かに周りのワゴンはスタイリッシュタイプやプリティタイプ、その他様々なデザインが為されており、それと比べれば、これはシンプル過ぎる。だが色合いは悪くなく、マンションにあっても浮いたりしそうにない。

「お買い上げ、ありがとうございます。」 

 何食わぬ顔のまま、スタッフはこれまた撤収中であった、カートワゴンのカードをポケットより出した。


 大きな買い物は終了した。後は細々とした日用品だ。

(ここからだと……、エレベーターよりエスカレーター【階段式じゃないもの】の方が近いな。)

 日用品フロアに行くにはまた階数を変えなければならない。今まではエレベーターだったが、地図を確認するとエスカレーターの方が近いかった。丁寧な事に、地図には階段式かそうじゃないかも載せられている。カートを押しているので、階段式じゃない方へと向かって行く。

(ん?)

 その途中だった。普通に階段を見付けた。勿論、スルーする筈だった。だが。

(何だアレ?)

 階段を丁度登ってきていたその小学生くらいに見える男子と結構距離が近かった。故に見下ろす顔に奇妙なものが付いている事に気付いた。

(眼鏡?)

 にしては重そうな印象を受ける。次郎は知らなかったが、眼科の視力検査で使う事もある眼鏡だ。初めての眼鏡を眼科で作る時、試しのレンズを入れて、眼科の周囲を歩かされたりする事がある。彼はその最中だった。そんな彼は階数を登り切って、彼から見て向かって左へ歩いていく。

(眼科? このフロアに??)

 その姿を何となく見送ってしまった(誰かに気付かれたらヤバかったかも知れないが、運良く誰も次郎の視線に気付かなかった)次郎は、その直ぐ先にどデカく「古眼科」と光る看板を発見する。本当にどデカいが、階段の壁に入口がある、みたいな感じなので、予定通りに階段をスルーしていれば、気付かなかったろう。しかし本当にどデカい看板なので、気付いてしまえば見逃しようもない……、そんな眼科だ。

(……確かにこう言う総合店って偶に個人でやってる病院が入ってる事が有るみたいだけど……。)

 だがイメージ的にはそう言った特殊店舗(で良いのか???)は、一般店舗に挟まれる様な位置には無い。故に不思議に感じながら、地図をまた開いた。

お読み頂き、ありがとうございます。大感謝です!


ルンバって店舗で見た事あったっけ???

と思いながら書いてました。機会があったら、確認しようかな、とは思いますが、どうあれ、内容に変化は出ないと思います。


コードレス掃除機。重いですよねぇ、アレ。CMでは軽々使っている様に見えたのに! 何が片手でラクラクスイーだよ(●`ε´●)、とマジで初使用日に愕然としてました。


有機EL。何ソレ。と言う疑問で一杯です。良いテレビを検索してたら出てきましたけど(笑)。取り敢えずゲーム出来るとはっきり書いていた凄そうなテレビ(2022年11月に発売予定とかになってました)を次郎が選んだテレビのイメージで。多分、55インチです。


何でかな? 漢字変換機能で「治郎」がトップになるの。「次郎」って使ってるのに。


可笑しい処は、「この世界ではそうなっている」と言うご都合主義を発行します(笑)。


眼科が出た理由


「そういや、店舗が広けりゃ、柱とか天井からフロア説明くらい、垂れ下がってるんじゃ……、」


からの 


「え、じゃあ、次郎が常にウロウロしてるのって、慣れないにしても可笑しい?」 


からの


「眼が悪い事にしよう!」  


からの


「あ、でもそれだと対処0な理由書かないと!」


からの


「遅蒔きながら対処させとかないと!」


からの眼科登場、です……。アハハハハハハハハ……、


路線図を確認……、多分、かなり目を細めていたんじゃないかと(汗)。

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