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課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第二章
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億ションでの暮らしの為に②

やっぱりまだ前置きが続きそうです。すみません。

 どうやら布団類は大型に入るらしい。マットレスは勿論、布団や毛布そのものはともかく、布団カバーや座布団、座布団カバーまで小型に入らないのは意外であった。

「いえ、基本は入りませんよ。しかしお客様の様に大型家具を纏めて購入される方になりますと、それに合わせた小物も必要になるのは極自然なお話ですからね、特別措置を取らせて頂いております。ーーでは此方をどうぞ。」

 差し出されたのは目立つ蛍光緑の短いベルト(次郎には名称が分からない)が巻かれたカート。このベルトが「特別措置を取らせて頂きます、大型専用レジで会計されるお客様ですよ」と知らせているらしい。恐らくレジ後は回収されるのだろう。

 因みにこの総合店のカートは幼児を乗せられるカート4種、駄菓子等の買い物に使える子供用カゴ付きカート4種、通常カート2種、大量買い様の大きいサイズのカート2種の全部で14種のカートがある。レジ前後で使うカートを色で分けているのだ。カゴで区別を付けていないのは、カートがカゴと一体となっているからだ(尚、レジもかなり広い)。そして子供関連はレジ前後での色分けだけでなく、更に男女別で2種ある。男児用は特撮ヒーローもの(色は背景)、女児用は女の子向けアニメである(網目にはなっていない)。色分けはカゴ以外のカート全域で行われている。

 そんな中、次郎に渡されたカートは大きいサイズのもの。そこにカバー類と座布団を入れている。座椅子(炬燵の背の高さとも相談した上で、良いクッション性のある、腰に負担を掛けにくい、背もたれを倒せるタイプを選んでいる)は、そのカートでも乗せて移動するのは大変なので、布団類(洗濯可)とカーペット類、そしてマットレスと共に、自宅への運び入れを依頼する事になるだろう。

 ベッドフロアから布団類フロアへ移動する事は、タンスフロアからベッドフロアへの移動に比べ、横移動が縦移動に、或いは真逆に縦移動が横移動に変わる様なものだった。その為、先程通ったフロアとは違う別フロアに着く。

(ん? 試し置き?)

 そのフロアには食器棚が幾つか並んでいた。こればかりは食器や調理器具を含む、キッチン用品を買わなければと考えていたので素通りする予定だったが、ある物を見て足を止めた。そのある物とは様々なキッチン用品だった。

 有れば便利な電子レンジやオーブントースターを始め、電気ポットや炊飯器、フライパンや鍋等の調理器具、複数のサイズや形のコップや皿、お椀類に箸類、フォークやナイフ、スプーンを象った模型(多分、プラスティック製と思われる)である。それらが乗った幾つかのワゴンの前に「試し置きにどうぞ(3〜4人家族分を用意しています)」と言う張り紙(何か女性受けしそうな可愛い絵&模様付き)をラミネートしたものが掛けられている。

(ああ、これで丁度良い食器棚を選ぶんだな。)

 キッチンに備え付けられている収納に何をどれだけ入れているか、各家庭によって違うだろう。全くピッタリ来るのも珍しいだろうが、脳裏で想像するよりも理想に近いものを探し易いと思われる。

(調理器具とかはともかく、1人分の食器はコレの1/3程度の量になる……、よな?)

 若干、首を傾げる次郎。次郎が想定した1人分よりずっと多い。

(あ、そうか。)

 その理由に気付く。そもそも次郎が想定した1人分とは無意識に洗ってまた直ぐに使える状態になる事を前提にしていたのだ。だが食洗機は通常、少ない食器量で回したりはしない。つまり、この量は溜め洗いが出来る事を前提にしていると予測が付く。

 無論、「今や食洗機が必ず、どんな家にもある」とは言わないが、一般的な数を用意するに当たって、食洗機があるケースの想定を店側は選んだと言う事なのだろう。

(確かに1日1回、食洗機を動かすとしたら、このくらいの量は欲しい、か……。)

 内心で頷き、キッチンの収納を脳裏に浮かべる。ものによっては仕切りが必要になるが、余裕で納まるだろう。只……。

(やっぱり電気ポット、電子レンジ、オーブントースター、炊飯器は別に置けた方が良いよな。)

 乾燥機は流しの近くに置くと決めているが、他はどちらかと言えば、キッチンの上に置くと調理の邪魔になる様な気もする(全部、置いたらの話だが)。ならば、それらだけを置く食器棚ならば必要になるかもしれない。否……、

(いや、それ、ルームワゴン、、だっけ? そう言うので大丈夫なんじゃ……。)

 頭に浮かぶのはルームサービスを頼んだ時にチラリと見た、スタッフの押していたワゴンだった。全く同じ感じのものでは大きさが足りないし、使い勝手的には背の高さも足りないと思われるが、そこをクリア出来きるなら十全に有りだ。

(でもワゴンって何処だ???)

 ここは家具フロアだ。売っているならフロア内の何処かにあるだろうが、近くには見当たらない。キッチン用のワゴンなのだから、食器棚の近くにあっても可笑しく無い筈なのだが……。

(広すぎるし、地図に細かい事まで書いてないんだよな……。)

 「スタッフに聞いてみよう」と自力で探すのを直ぐに諦めたのは、きっと正解だった。スタッフ曰く。

「ああ、当店舗ではワゴン関連は基本、取り扱ってはおりません。総合店にはワゴン関連の専門店がございましてね、当店では余程のものでないと置かない事にしております。」

 との事だ。

「お客様、そちらをお拡げ下さい。」

 「ではそのワゴンの専門店について教えて欲しい」と言う前に、向こうから持っている地図を出せとアクションを取って来た。言う通りにすると、「失礼します」と地図のページを捲られる。

「こちらのフロアにある店舗がそうです。お客様、家電等はご覧になりましたか?」

 そう尋ねられ、首を横に振る。

「これからの予定です。」

 そう答えると、こう教えられた。

「では先にそちらに行く事をオススメします。」

 確かにその方が良いだろう。位置的に。ついでに食器や調理器具は家電の前に済ませた方が良さそうだ。此方は家電位置だけでなく、模型でのイメージを忘れない内に、と言う意味もあった。


 食器は良く分からないが、日本の職人が製作したと言うもので集めた。勿論、食洗機OKのものである。調理器具の内、フライパンや鍋関連は型落ちT-FA○セットがワゴンセールされていたのを発見したので、迷わずカートに入れた。

 包丁は高いものは要らなかったので、日本製で一番安い出刃包丁(多分、一番使い易い種類)とパン切り包丁(まあ有った方が良いかなレベル)、それから果物ナイフ(まあ、普通は有るものじゃない?的な何となく感)を選んだ。他の種類の包丁は専門っぽいイメージがある為、必要になれば、また買いに来ようと考える。

 俎板は洗いやすく、清潔を売り文句にしているものを選んだ。此方も日本製である。

 その他、お玉やヘラ等々は100均でも買えるのは知っているが、その中で日本製は探さなければならない事を考える。場合によっては200均や300均、500均に足を伸ばしたり、今居る階のフロアに戻って来る事になるかもしれない。

(ここで買おう。)

 と言う訳で、残りの細かな道具も此方で買う事にした。


 それから家電のフロアへ。階を上がると真っ先に見付けたのはエアコンの位置。大体エアコンの近くに空気清浄機が置かれていそうだ、と言う根拠も無い思い込みから周囲を見渡す。当たっているのか当たっていないのかは良く分からないが、幸いにして直ぐに見付ける事が出来た。

(えっと……、備え付きのエアコンにも空気清浄機能は付いてるみたいだけど、何時も動かすとは言い難いし、そちらは無いものとして考えて……、)

純粋に部屋の広さだけを考慮して、対応するものを選ぶ。家電も家具同様、カードが商品近くに用意されていたので、間違いが無いように気を付けながら抜き取った。

 その後、適当に歩くと洗濯機と冷蔵庫を同時に見付けた。向かって右に洗濯機、左に冷蔵庫、と言った感じだ。

 洗濯機は布団も洗える大き目のものを選んだ。尚、スタッフに確認した処、やはり本格的に乾燥機能を使うならば、別々に買った方が良いと言う事だったので、そのアドバイスに従った。

 冷蔵庫は新鮮さを保つとか、製氷機能が良いとか、その上ワイドなものを選んだ。一人用でもある程度の大きさがあるのは分かったが、機能が良いものはやはりワイドの方が多く、だからなのか1シーズン前のものが残っていたので、その冷蔵庫を選んだのだ。

 空気清浄機に続き、洗濯機、洗濯乾燥機、冷蔵庫と立て続けに3つのカードを取った次郎にスタッフはニコニコしている。

「他にご入用のものはございませんか?」

 そう聞かれたので、「キッチン家電を探している」と告げる。直ぐに案内された。

 その場にはまた別のスタッフが居た。どうやら担当が変わるらしい。客を引き継いたスタッフに「土鍋の様な美味しさ」と言う売り文句の炊飯器の最新型を勧められたり、「カクカクシカジカな機能がバージョンアップしており……、」と電子レンジやオーブントースターの最新型を勧められたり、「これはあの有名ブランドが……、」と電子ポットの最新型を勧められたりした。

(最新型とか言ってるけど、それって何が違うんだ?)

 勿論、違いの説明もされているのだが、次郎からしてみれば、「それ、どうでも良くない?」と思うものばかりだった。使い易いとか洗い易いとか、もっとハッキリと分かるものであれば、感想も変わったのだろうが。

 なので元々の「最新型で無くても良い」と言う考えは変わる事なく。当然、選択はどれもシーズン前のもの。そんな次郎に対して、しかしスタッフはニッコニコしている。もしかすれば本心は「型落ちを早く売り切りたい」だったのだろうか? その為に違いが分かりにくい説明をしていたのかもしれない……、と思うのは穿ち過ぎだろうか?

「後は食器乾燥機でしたよね。此方になります。」

 そんな「小さな疑い」と言うのでさえ大袈裟な気がる思考がハッキリと次郎の意識に昇って来るより早く、スタッフは促す。その案内に従って、また歩く。然程離れて居ないが、そこは位置的に先程の場所からは置かれている商品が見えない場所だった。勿論、逆も然りで、此方からは今、電子レンジもオーブントースターも電子ポットも見えはしない。

お読み頂き、ありがとうございます。大感謝です。



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