*小説・エッセイ・散文・その他* 夜を歩く 作者: a i o 掲載日:2021/04/08 夜が近くにある。 すすす、と薄暗くなる空に点々とつく星明かり。 橋の下にある川はせせらぎの音で流れていく。 坂道の勾配が曖昧になって、つづいていくような感覚。 塀の上の猫のシルエットと被さるような木々は揺れる。 一分一秒が滲み、月は昇る。 夜にいっとう甘く薫る花があるという。 次第に研ぎ澄まされていく嗅覚を頼りに、そんな花を探すためだけに夜を歩く。 夢のような足取りで。 たとえばどこにも、辿り着かなくてもいい、そんな心持ちで──