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うたかたの白昼夢

作者: 未来

春の陽気に誘われて書いてみました。

なぜ承諾してしまったんだろう・・・

手土産の簡単なおつまみを作りながらため息をつく


「部屋から桜が見えるのでよかったらのんびり桜をみながら、お酒でもいかがですか?」

普段なら絶対に断るそんな誘い文句に思わずのってしまった。

花見をしたい欲求と人込みへの拒否感からおもわず・・・。


はぁとため息をつき、菜の花の辛し和えや、レンコンのきんぴら、ゆず大根など

つまみになりそうなものを作る。


取引先の相手で私よりたぶん若いし・・・

イケメンって評判な彼

そんな彼の部屋にいくのだから笑えて来る。

なにもない、あるわけがないただの気まぐれで誘ってくれたのだろう

なんとなく波長があう。


今からでも断ろうかとスマホをみつめため息とともにおかずに蓋をして家を出る。

待ち合わせの場所にいく道すがら、桜が笑いかける

「わー、そういう恰好も素敵ですね~。」

「いつも仕事のときはスーツで色気もないですしね。すみません」

そんな話をしながら、手土産の日本酒と手作り総菜や出来合いのおつまみを渡す

「すごく豪華なお花見になりそうです」

はしゃぐ声をきき桜の見える部屋へはいると

僕の部屋から見える桜は最高ですよというだけあって

隣地の公園のさくらがまるで絨毯のようだった。やや高い桜が窓の前にあり

とても美しい。



「今日はお疲れですか?マッサージしましょうか?」

バカなことをと思う

「いえ、お休みの日にそんなことさせられませんよ。素敵な桜のお礼に私がしましょうか?」

きっぱりと拒絶、そして最後は試すような気持ちでいってみた。

「人にマッサージされることってないんでお願いします!」

子犬のように笑う。

マッサージなんてする気はなかったが、言ってしまった手前実行にうつす

子供のころから母をマッサージしていたので、マッサージは得意だ

「おぉ!めちゃ上手ですね。いつでも本職ではたらけそう」

「母のね、マッサージをしていたから慣れてるの。痛かったり、おかしなことをしてたら教えてね」

沈黙のなかマッサージをすすめる。

背中から足までマッサージをしておどけたように

「お客様~、次はあおむけでお願いします」

というと、「気持ちよくて寝ちゃいそうですよ」

「あら、寝たらいたずらしますよ」

「わぁいたずらも楽しみだな」

仰向けにした彼の顔を覗き込むような形で肩をおす


そっと肩をもみつづけると、本当に眠ってしまったようだ。

いたづらで口づけてみたら彼はどんな顔をするのだろう。

我ながらバカな考えを思いついたものだとため息を小さくして

外を見る

風がまい桜の花びらが舞う

日本酒を一口二口と飲みながら

春という陽気が見せたうたかたの夢

ひらひらと舞い込んできた花びらが盃におちる

夢の残滓を飲み干す

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