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ブレイブカード  作者: きしと
Enjoy Game
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プロローグ2


 VR内でユーリと呼ばれていた白河優理しらかわゆうりは現実に戻ると、フルダイブ型VR用の機器である【マイギア】を外し、誰もいない薄暗い部屋でテレビを付けた。


 しばらくCMが流れた後に、優理が目的にしていた番組である【ぶいぶいあーる】が始まる。

 ぶいぶいあーるは毎日この時間帯に放送されていて、各曜日の司会が、ゲストを一人招いて、一つのVR関連の特集を行う番組だ。


 優理はいつも次に始めるゲーム系VRを何にするか決めるのに、この番組を使っているのだ。


 映し出された画面には、今日の司会だと思われるアイドルの格好をした桃色の髪の少女と、軍服のような格好の黒炎を思わせるような特徴的な髪型の少年がいた。


「はーい。始まりました~! 本日のぶいぶあーる! 水曜日司会のミカリンですよ~! 今日特集するのは人気爆発中の異色作! カードゲームとVRMMOの融合。ブレイブカードで~す!!」


 笑顔を見せながら、カメラ目線でそう宣言したミカリンは、直ぐ側に座っている少年を、カメラに見せつけるように手で示す。


「ゲストとしてブレイブカードのトッププレイヤーの一人。【七龍征しちりゅうせい】の一人としても有名な、【幻炎げんえん】の二つ名を持つ、黄昏たそがれさんに来て貰っています!」

「どうもです」

「黄昏さんには、ブレイブカードがどうしてここまで人気を得ることが出来たのか、その理由について解説して頂きたいと思います!」


 ミカリンの言葉に黄昏は頷く。

 そして手元に表示したウィンドウを操作して、解説のための画像を投影する。

 

「ブレイブカードはミカリンの説明にあった通り、カードゲームとVRMMOが融合したとても珍しいゲームです。プレイヤーは通常攻撃を行える【固定武器】と手札にある【カード】を使用して戦って行くことになります。

 このような特殊なゲームが何故これほど人々に受け入れられるようになったか……その理由はずばり、このゲームなら、旧人類でも新人類と対等に戦う事が出来るからです」 


(旧人類と新人類が対等に戦える?)


 つい先程まで旧人類と新人類の間にある悪意に晒されていたからだろうか、ぶいぶいあーるを流し見していた優理はその言葉に興味を引かれる。


「旧人類と新人類が対等に戦える……ですか? でもそれって確か他にも似たようなものがありますよね。例えば【狂乱の宴】とか【インフィニット・スペース】とかもそのような特徴だったと思います」

「確かにそうですね。それらのゲームも同じように旧人類と新人類が対等に戦えるものになります。

 ――ただそれらは第二世代のVRMMOであり、第三世代のVRMMOであるブレイブカードにはまた違った特色があるのです」

「VRMMOの世代なんて初めて聞きました!」

「普通にVRプレイするだけなら、あまり意識はしないものなので知らなくても無理はありません。

 VRMMOの各世代は、言わばその時代で主流になっているVRMMOの形式を表現したものです。フルダイブ型VRが誕生して直ぐの頃の第一世代、それからしばらく経って生まれた第二世代、そして現在の主流になろうとしている第三世代と三つの世代が存在しています」

「三つも世代があるんですね~。それぞれの世代はどんな違いがあるんですか? その違いがブレイブカードの人気の秘訣に繋がるんですよね?」

「そうですね。ブレイブカードの人気の理由に各世代の話は深く関連していますが、一般的な事ではありませんので、ブレイブカードに関する説明を始める前に各世代について詳しく話していこうと思います」


 そう言うと黄昏は空中に表示された画像をブレイブカードに関するものから、VRMMOの各世代を説明するものと変更する。


「まずは第一世代から、これはフルダイブ型VRが誕生する前に大勢の人々が想像していたVRMMOそのものといってしまえるものです。本人のプレイヤースキルによって何処まででも冒険が出来るというVRMMOへの憧れがこれでもかと詰め込まれたものですね。

 そのため、人々の間で爆発的な人気になり、VRがここまで一般に広まる原因ともなりました。

 ――ですがこれはとある存在が生まれたことによって急速に衰退していくことになります」

「とある存在……。あ、新人類のことですか!?」


 ミカリンは黄昏の言葉を受けて少し考えてからそう切り出す。

 フルダイブ型VRが出てきてから現れた存在で、有名なのはそれくらいしかないからだ。


「その通りです。一般常識なので今更説明することではありませんが、新人類は優れた能力を持っています。

 そのためプレイヤースキルがものを言う第一世代のVRMMOでは、それこそ小説の主人公のように圧倒的な無双を行いました。

 具体的な例としては、旧人類プレイヤーが人数を集めてしっかりと準備をした上で倒そうとしたボスを、リアルスペックにものを言わせてソロ勝ちしてしまうというようなことが起こったわけです」

「なるほど。つまり頑張って倒そうとした相手を簡単に倒されてしまったことで、やる気が萎えてしまいVRMMO離れが進んだということですね?」

「そうですね。それも一つの要因ではあります。

 ただ私は第一世代のVRMMOが衰退したもっと大きな理由は、自分をモブだと実感してしまうという点ではないかと考えています」

「自分をモブだと実感?」


 わけのわからないといった顔をするミカリン。

 黄昏は一息をつくと真剣な顔をして続きを話す。


「MMOというのは本来誰もが主人公です。MMOをプレイする殆どの人がそのつもりでゲームの世界を冒険しています。

 ――でも、そんな世界でも、小説の主人公のような圧倒的な存在を目にしてしまうと思ってしまうんです。自分はあの凄い奴にしてみれば直ぐに片付けられるモブでしかないと。

 誰もが主人公であるはずのこの世界で、自分がどうしようもなくモブであると実感してしまう……。

 多くの旧人類はそれに耐えることが出来なかったのではないかと私は思います」


 ゲームというのは逃避手段の一つだ。

 思うようにいかない現実を忘れて、自分が主人公として生きる自分だけの物語を楽しむ為にゲームをプレイする人も多いだろう。

 そうやってゲームを楽しんでいる人の眼前に唐突に突きつけられるのだ。お前は主人公なんかじゃない。これはお前の為の物語でもない。お前は他の奴の物語を彩るための添え物だと。


 そんな不条理は現実だけで充分だと、次々とゲームを辞めていくのも仕方ない話だ。


「そうして急速なVRMMO離れが進むことで一番焦ったのはネクストオリジンを含めたゲーム会社でした。彼らは何とかして旧人類をVRMMOに戻そうと新しいVRMMOの形を考えた。

 そうして生まれたのが、ユニークチートをコンセプトにした第二世代のVRMMOになります」

「ユニークチート……。自分専用の強力なスキルとか、自分にしか起こらないイベントとかそう言ったものことですね。

 第二世代の特徴がそれだということですけど、それでどうやって旧人類のプレイヤーを戻したんですか?」

「フルダイブ型VRでは直接肉体を動かすのでどうやってもリアルスペックによる影響を消すことは出来ません。

 だからこそゲーム会社は別のアプローチを考えました。

 それはリアルスペックの影響が消せないのなら、それを潰せるようなより影響力のあるチートをシステム的に実装しようというものです。

 この目論見は大成功しました。リアルスペックによるプレイヤースキルが全く関係なくなるようなチート合戦にすることで、旧人類でも新人類相手に対等に戦えるようになったのです。

 それにこの仕組みは旧人類にとってとても心地がよいものだった。自分がモブだと実感してやめた旧人類にとって、小説の主人公のようにユニークチートを振り回すことは、自分が主人公であるという実感を取り戻すことに繋がったんです。

 そうして多くの旧人類がVRMMOに戻ってくることになりました」

「全ての問題を解決したいいこと尽くめの結果ですね。

 でも第三世代が現れることになった……ということは第二世代にも何か問題があったのですか?」


 ミカリンは首を可愛らしく傾げながら黄昏へと質問する。

 何も問題が無ければ第三世代が生まれることもなく、第二世代が主流として人気になっているはずだからだ。


「はい。大きな問題としては三つ。バランス調整の難しさと自由度の低さ、そして誇れなさが上げられます。

 まずバランス調整の難しさについてですが、これに関しては説明不要だと思います。チートの応酬合戦なんてもののバランスを取ろうなんてことは狂気の沙汰なわけですよ。実際に多くの第二世代のVRMMOが、今日までにバランス崩壊によってサービス終了になりました。

 次に自由度の低さ、これは運営から配布されたユニークチートによって強さが決められてしまうために、どのプレイヤーもそのユニークチートに沿ったプレイングをしなければならないということから起こります。ゲームとは本来、自分でどのように進めるか選べるものなのに、決まった一本道の強化しか許されないとなると、ゲームをやっている気分にならないと感じる人がいても不思議ではありません。

 最後に誇れなさについて、第二世代のVRMMOでランキング1位になるなどの偉業を果たしたとしても『配布されたユニークチートが強かっただけ』、『運がよくてよかったな』と思われてしまうことが多く、ゲーム内での出来事を自慢したいプレイヤーに取っては、ゲームをプレイしても意味がないと考える人もいたのです」

「なるほど。問題を解決するために取り入れたユニークチートが、全く別の問題を生み出してしまったということですか」


 ミカリンのその言葉に黄昏は頷く。


「何かを修正したことによって反動が出ることは珍しいことではありませんが、今回の件に関して言えばユニークチートという大きすぎる影響を持ったものを使用する形で修正を行ってしまったために、多数の問題が発生することに繋がってしまったと言えます。

 そしてこのことを把握したゲーム会社は、その経験を盛り込んで次の世代のVRMMOの開発を始めました」

「ついにブレイブカードが含まれる第三世代の話ですね!」

「そうですね。やっと第三世代についての話です。

 第三世代は第二世代のコンセプトであるシステム的にリアルスペックの有利を打ち消すということを引き継いでいます。

 ただしそれをユニークチートで成しているわけではありません。第三世代は様々な独自のシステムを組み合わせることによってそれを実現しているのです。これによって大きな影響が発生しないようにしているわけです。

 そのため第三世代のVRMMOはそれぞれのゲームごとに全く異なった仕様で新人類と旧人類が対等に戦える状況を生み出しています。

 ブレイブカードではカードとそれを中心にしたシステムによりこれを実現しているのです」


 黄昏はそこまで話すと空中に投影する画像を、ブレイブカードに関するものへと変える。

 ミカリンはその画像を見て、首を傾げながら黄昏に質問する。


「カードを中心としたシステムで、新人類と対等に戦えるようにしているとの話ですが、ただのカードで本当にそんなことが出来るんですか?」

「できます。カードを使用するからこそ実現出来ると言えます」


 きっぱりと言い切る黄昏。


「センスは特殊なので省きますが、VRMMOにおいて、新人類と旧人類の格差の原因となるのは、基礎能力の高さから来るアバター操作能力の差です。

 そしてこれは使用するアバターが高性能になるほどに顕著になっていきます」

「?? どういうことですか? 元々の基礎能力の差なら、アバターの高性能になっても大した差はでないのではないですか?」


 ミカリンのその言葉を聞いて、黄昏は苦笑する。


「一般的にそう思われがちですが、実はそうではないんです。

 なぜなら高性能になるほどに人はそのアバターを上手く扱えなくなって言ってしまうからです」

「アバターを扱えなくなる……ですか?」

「はい。そうですね。パワードスーツをイメージとして思い浮かべて貰えると分かりやすいと思います。

 例えば現実の肉体に、徐々に性能をあげたパワードスーツを付けていった時、最後までそれを扱いきることができるでしょうか?」


 ミカリンは黄昏のその言葉に少し考えると言う。


「それは難しいんじゃないでしょうか? たぶんそのパワードスーツに振り回されて、上手く扱えないと思います」

「高性能になればなるほど本来の自身の性能からかけ離れ、体の制御が追いつかなくなる……これはアバターにおいても起きることです。簡単に言えばアバターとは見えないパワードスーツで増強された肉体のようなものなんですよ。

 だから性能を上げれば上げるほど、現実でパワードスーツを着けたのと同じように扱いきれない領域が生まれてしまうんです

 そしてこの体の制御が効く限界というのは、基本的に元々の身体能力が高いほどそれに比例するように高くなるわけです。

 単純に言えば旧人類は元が50でそれに50を足した領域までしか満足に扱えないとすると、新人類は元が100でそれに50を足した150の領域まで満足に扱えるといった形ですね」


 黄昏のその言葉にミカリンは得心がいったように頷く。


「なるほど。そう言われると確かに、アバターの性能が上がるほど、旧人類と新人類の間に格差が広がってしまうことになりそうですね。

 だってゲーム内でのステータスをあげるほど、旧人類は扱いきれなくなって弱くなり、新人類はそれを充分に扱って強くなっていくということでしょうから」

「多くのゲームで当たり前に使われる要素であるステータスの上昇……。時間をかけてキャラを育てて強くなると言うその仕組み自体が格差を生み出す。

 つまりただのゲームでは何処まで行っても旧人類では新人類には勝てない。インフレが進む中で旧人類が振り落とされてしまうタイミングが必ず訪れてしまうわけです」


 そこで黄昏は一息を着くと、決め台詞を吐くように重々しく語り出す。


「――ですが、ブレイブカードではこの心配は存在しません。

 なぜならブレイブカードにはプレイヤーのステータスという概念が存在しないからです」

「ステータスの概念がない? MMOですよね!? ブレイブカードは!?」

「ええ、ありません。ブレイブカードでは旧人類が扱い易いレベルで、全てのアバターの性能が統一されています。

 だからこそブレイブカードにはステータスの成長要素はありません。どれだけゲームを進めたところでプレイヤー自身が強くなることはないんです」

「それは……なんというか……」


 黄昏の説明を聞いてミカリンは思わず唸る。

 なぜならMMOというジャンルにおいてステータスの成長要素こそが、多くのプレイヤーが同時にプレイするゲームで根幹となるものであり、自身のオリジナリティを示す場所となるからだ。


 ステータスの概念を無くすということはその場所を無くすということ。

 自分だけのキャラを育てていくという、MMOの当たり前の楽しみをなくしたゲームが果たして面白いのか、と思ってしまったのだ。


「ミカリンさんの言いたいことは分かります。ブレイブカードにはステータスの要素はない。

 だけどそれは、成長できないということや、独自性を出せないということとイコールではありません。

 なぜなら、ブレイブカードでは、カードという存在の比重を強めることで、ステータスの代換えを行っているのです」

「ステータスの代換えですか?」

「ええ、ブレイブカードではステータスの概念がない。

 つまりレベルや職業に付随するようなスキルや魔法などもありません。

 ですが、魔法やスキルのようなものがないというわけではない。それらは全てカードの効果という形で実現されているのです。

 そして、カード自体はゲームを進める中で入手することができ、多種多様な種類が存在するため、自分好みのオリジナリティある組み合わせのデッキを作ることができる……。

 すなわちステータスの成長という要素を、カードを集めて自分だけのデッキを作るというものに変えることで、MMO本来の楽しさを失わずに新人類と旧人類が対等に戦える状況を作っているわけです。

 これはブレイブカードがカードゲームを題材にしたからこそ、カードという存在がゲームの根幹をなしているからこそ、実現できたことなのです」

「なるほど。それがカードだからこそ実現できると言っていた所なのですね」


 ミカリンの言葉に黄昏が頷く。


「そしてカードの多様性が生み出す効果はこれだけではありません。

 新人類は攻撃パターンを学習して最善の動きをすることを得意としているわけですが、様々なカード効果が手段として存在するカードゲームではそれを生かすことは難しい。

 なぜならお互いの手札の状況によって常に最善となるものが変わっていくからです。もし仮にその中で最善の動きができたとしても、逆を言えばそれは読みやすいものだと言える。相手がそれすらも想定して効果を使い分けていれば、その最善の動きは最悪な動きに変わることになるわけです。

 つまりそれは、ブレイブカードでは、リアルスペックに左右されない、カードの使い方、つまり技術と戦略が勝敗を決すると言えます」

「なるほど、カードを使うことになる状況に持って行くことで、その多様性によって、互いのカードの使い方が勝敗を分ける形に持って行くことができると言うことですね」 


 ミカリンはそこまで話を纏めたところであっと何かに気付いた顔をする。


「でもそれならカードを使わせる前に、ごり押しで襲いかかれば新人類が有利なまま戦いを終えられませんか? 旧人類でも完全に扱えるレベルのアバター性能になっているそうですが、それでも優れた新人類ならそのハンデを塗りつぶせるほど精密に動く事ができると思います。そんな新人類が奇襲を仕掛ければ、カードでの勝負になる前に決着がついてしまうかも知れません」

「その心配はありません。実はブレイブカードには特殊なシステムとして【エクストラタイム】という仕組みがあるのです」

「エクストラタイムですか? それは一体どういうものなのでしょう?」

「ブレイブカードではHPがゼロになるとゲームオーバーになるのではなく、エクストラタイムに突入します。このエクストラタイムが時間経過や攻撃によって削られた時にゲームオーバーとなるのです。

 エクストラタイム中は攻撃やカードの使用などといった殆どの動作を行う事が出来ませんが、ランダムな未使用の手札一枚をコストとして支払うことで【リバイブ】を行う事が出来ます。リバイブを行うとHPと状態異常を全回復して復活することが出来るのです。

 端的に言ってしまえば未使用の手札が残機としての役割を持ち、復活することが出来るので、力押しの奇襲だけでは絶対に勝つことは出来ないんです」


 そこで黄昏は一呼吸を入れると更に話を続ける。


「そしてカードを使用しない形での決着が付かないとなると、そこから先はお互いの思惑を読み合ってカードを切り出していく知略の戦いとなります。

 その読み合いといった部分は新人類として強化されない項目であり、むしろ人生経験が豊富な旧人類が得意なことになります。

 なのでブレイブカードというゲームでは、旧人類が新人類を圧倒するというのも珍しくないことなんです」

「新人類を旧人類が圧倒!? それは凄いですね!」

「そうですね。その部分だけでもブレイブカードの特異性がよく表れていると思います」


 そうして黄昏は纏めに入る。

 大分長い時間話してきたが、そろそろブレイブカードの人気の秘訣についての話は終わりにして次に移る時間だ。


「ブレイブカードは、第一世代と違い、新人類と対等に戦う事が可能で、第二世代と違い、ユニークチートのような劇物に縛られる事無く、自分達の意思で自由に楽しみ方を決めて、強くなっていくことが出来ます。

 それは第一世代が出る前に人々が望んでいたVRMMOの憧れそのものではないかと思います。

 だからこそブレイブカードに多くの人が引きつけられるのではないかと私は考えています」


 その後も番組は続く。

 優理は番組が放送を終えるまでじっと見続けた。


 ――ブレイブカード。

 新人類と旧人類が対等に戦えるゲーム。

 リアルスペックではない知略の差が勝敗を分けるゲーム。


(面白そう)


 久しぶりに現れたその感覚に優理は自身の気持ちが高揚するのを実感した。

 今まで経験したこともないゲームなら、きっと以前のように楽しいという気持ちが湧くはずだと心の中で強く思う。


「次はブレイブカード。そこで黄昏を倒す」


 優理はそう決意を呟き、再び仮想現実へと意識を向かわせた。


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