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6.マルティーナの発明


アメリア母様にこっぴどく叱られ、夕食を食べてから、エルモ兄さんと実験室に向かった。

エルモ兄さんは、魔導士としても名高く、魔導具を作る手伝いをお願いした。

二つ返事で了承してくれたエルモ兄さんに深く感謝した。


ドラゴンの目玉は、とてつもなく大きい。私が体を丸めた時と同じくらいある。

希望としては、ブローチくらいの大きさにしたい。とりあえず、エルモ兄さんに相談。


「エルモ兄さん、この形のまま、大きさを変えることって可能かしら」

「圧縮魔法か膨張魔法を使えば出来ない事はない。圧縮すると性能は小さく纏まり、威力が大きくなり、膨張させれば性能はばらけてるが威力は拡散できる」


流石エルモ兄さんだ。

分かりやすく簡潔に教えてくれる。


「圧縮したいです。それで、記録は魔石を埋め込んでそれに残していきたいのです。魔石を交換すればまた別の記録が撮れますし、容量の事を気にしなくて済みますもの」

「わかった、やっていこう」


エルモ兄さんは早速目玉に圧縮魔法を掛ける。キラキラと眩く光り、目玉はぐんぐん小さくなっていく。

直径五センチくらいの大きさになると、私はエルモ兄さんを止める。


「このくらいの大きさで十分ですわ。あとは魔石を嵌め込む部分を作って、装飾で目玉をうまく隠しつつ、ブローチにすれば完璧ですわ」

「装飾はティナに任せる。俺は魔石を嵌め込む部分を作る」


それからは無言だった。

私は庭から薔薇を摘んで花弁が枯れない様に防腐魔法を掛け、上手く瞳を隠しつつ、花弁を一枚ずつ貼りつけて薔薇を作った。


エルモ兄さんは、ブローチの台座と留め具の間に魔石を埋め込める様に加工していた。ついでに、埋め込む魔石も、ブローチが大きくなりすぎない様、平べったく加工してくれた。


台座にブローチを付け、形が完成した。

中々に順調である。


「仕上げはティナがやれ」

「私の魔力に反応して記録を始めたり、終わらせたりする様に仕組みを変えればよろしいですよね?」

「あぁ。後は回路とゆっくり向き合って組み替えるんだ」


原理は分かった。

後は私が頑張るしかない。ブローチに向き合い、両手を翳し、目を閉じる。


手のひらから温かい魔力が溢れる。

物には魔力の流れる回路がある。私はその回路に魔力を流し、組み替えていく。


どれくらいの時間が経っただろうか。

ゆっくりと回路を組み替え、理想の回路が完成し、私は目を開ける。

ブローチの形自体は変わっていないが、そこには立派な魔導具が鎮座している。


「…エルモ兄さん」

「ティナ、よくやった。完成だ」


記憶の瞳を模して作った、監視の瞳を前に、私とエルモ兄さんは手を取り合って喜んだ。


そして、すぐに深夜に騒いでいた為に、アメリア母様がパジャマで現れた。

深夜に騒いでいた事と、寝ずに作業していた事で本日二度目の大目玉を食らった。


何はともあれ、完成した。

部屋に戻った私は、パジャマに着替え、ベッドに潜り込む。

明日から、エリザベスに何かされても証拠を残せるのだ。


まず、しつこく誘われ続けているお茶会に参加してみよう。


次から、ようやく話が進みます!

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