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四季怪々 僕らと黒い噂達  作者: 島倉大大主
幕間
20/57

春と夏の間

 さて、そのまま五月は何事もなく、いや色々あったけど、ともかく過ぎて行きました。


 ゲーセンに行った次の週に、オジョーさん姉妹のお父さんが、ため池の石塚を修復し、ついでに公園にしちゃおう工事に着手しまして、あっという間に工事終了。僕と委員長、それにオジョーさんは早速、カメラをかついで行ってみます。すると池は、ゴミは業者の人にすっかり片づけられており、フェンスもなく、図書館と繋がって、とても綺麗な近所の人の憩いの場になっておりました。

 試しに、紙コップを前と同じ場所に置いても、ぴくりとも動きません。


 その時、僕はあれ? と思ったんです。古墳や神社、お寺の破壊行為の痕もすぐに修復が始まりました。考えてみたら、当り前でして、宗教とか歴史的な所とかってそういう事に一番に気を使うじゃないですか。第一回で訪れた古墳なんて、前よりも綺麗になっちゃったんです。


 一体、これをやった連中は何が目的だったんだろう?


 まさかのまさか、ホントにただ単に悪戯しただけのお馬鹿さん達で、深い目的とか意味なんてなかったんじゃないか?

 ばーちゃんにその旨聞いてみると、さて、と頭を捻りました。


「修復すれば結界は確かに治っていく。

 ただ元の力を発揮するには年単位で時間がかかるんだ。

 その間に連中は何かしようとしている、と考えるのが普通だけど――大学生が結界をぶっ壊して何を計画するっていうんだい? 

 こんな遠回りで、不確実な方法を使ってさ。だから、あたしも、その『深い目的なんかない』に一票だね」


 そうなんです。実の所、『深い目的なんかない』は正解だったんです。


 で、ついさっき判明したんですが、『黒幕』の理由がですね、更に輪をかけて、実にくっだらなかったんです。

 勿論、世の中の悪事全てに深い目的なんて無いのかもしれませんが、どうせなら、あって欲しかったと思っちゃうんですねえ……。

 ともかく夏の話を、あの八月一日の暑い日の午後、凄い夕立のあの時に向けての話を始めましょうか。


 まずは六月のあの話、あの女の影がボンヤリと僕達の周りに現れ始めた、あの話からですかね。

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