第9話
俺は順調に9階層まで来ていた。
「歯ごたえないな。」
ここまではゆっくり進んできた。
自分の知っているゲームの中とはいえ元々は戦闘などとは無縁の日本人だ。まずは慣れるのが優先だろう。
「よっと!」
天井付近に空いた横穴に入る。
そこから向こう側へ飛び降りると。
「モンスター部屋か」
こういう感じで寄り道していたらゆっくりになっていたのだ。
「ほいっ! いっちょ上がり!」
おびただしい数のモンスターがいたはずだがものの5分で片づけてしまった。
「何がでるかな~」
すると、部屋の中央に宝箱が出現した。
「はいっ! オープン! なんだゴールドか!」
我王グループの会長様にお金の問題などなかった。
「レア武器とか欲しいなぁ」
このダンジョンは学園側が用意したアイテム類がドロップしたりする。
もちろん管理している学園側が用意しているからと侮ることなかれ!
世界の人々が羨ましがるであろう豪華さを誇っているのだ!
何故なら、この学園の最大の出資者が世界の”我王グループ”なのである。
マッチポンプ……。
会長といえどそこには関与していないのでセーフなはず!
「そういえばそろそろボス部屋かな」
このダンジョンは10階層ごとにボスが待ち受けている。
「ゆっくり来ちゃったから俺が最後かも」
ボス部屋の前に到着すると何やら人がいた。
「あ、羅栖墓様!」
「げ!」
なんと花菱京香のパーティがいたのだ。
「あら?羅栖墓様お一人ですか?」
「あ、ああ!何故か俺はパーティを組まれなくてね。」
「あ!なるほど!だから私達のパーティは1人少ないのですね!」
花菱のパーティを見ると確かに4人だった。
「何かの手違いかしら?」
「さあ?行かなくていいのか?ボス挑戦するんだろ?」
「はい!この先は簡単にいきそうになかったので準備をしてましたわ!」
「そうか、頑張れよ!」
「はい!では行ってまいりますね!」
「おう!」
普通に話してるとかなり美人で、訳ありでなければ是非ともお付き合いを願いたいレベルなのだが。
花菱パーティがボス部屋に入っていった。
メンバーを見る限りかなり強いメンバーが揃っていた。
東堂可憐 東堂流の使い手で剣の腕前は天才と言われている。ヒロイン候補。
網谷達人 盾使いで前線を任せれば安定感はピカイチ。主人公お助けマン。
来栖勝利 このエロゲの主人公。今は弱い。
花菱京香 悪役令嬢。魔法の実力は主人公を追い詰めるほど。
足を引っ張るとすると主人公の来栖だろう。
彼は入学したては俺と同じGクラスの中でも弱い。
他のメンバーは既にAクラスに所属しており、物語が進むと仲間になる。
とりあえず先客のボス戦が終わるまで休憩しとこう。