第6話
さて、今日から学校が始まるのだが何故こうなった?
「京香様!お兄様にくっつかないで下さい!」
「あら、婚約者の私が未来の夫とどうしようが勝手でなくて?」
「お兄様も何か言って下さい!」
学校に向かう車の中で女性二人に挟まれている。
左側に座って大きなお胸を俺に押し付けているのが俺の破滅の女神、花菱京香だ。
右側に座って小さなお胸を俺に押し付けているのが俺の義理の妹様、我王千聖だ。
再婚した相手の連れ子で俺とは全くの血の繋がりがない。
物語では、闇落ちした羅栖墓にも最後まで味方して一緒に死んでくれる唯一の味方だ。
一部のプレイヤーからはその健気さから攻略不可能ヒロインと言われていた。
「花菱さん? 婚約の話はまだ話し合ってすらいないんだけど?」
「私は、羅栖墓様をお慕いしております! ダメですか?」
なんだ、先日の一件からいきなり手のひらを思いっきり変えてきたんだが?
まさか鬼平の言う通りM……。
「花菱さん、俺はまだ結婚とか考えられないから婚約もするつもりないよ。」
「ええ、勿論無理やり結婚してくださいとは言いませんわ! 羅栖墓様に結婚したいと言われる関係にズブズブにして見せます!」
「ズブズブって……」
「私はいつでもいいですわよ?」
耳元で言われゾクッとした。
「ちょっと! 京香様お兄様が困っていますよ!」
もしかしたら羅栖墓はこうやって篭絡されて操られていたのだろうか?
危険だ花菱京香と婚約を交わすのは危険すぎる!
「ほら、もう学校ついたよ。」
「そうですわね!」
「花菱さんが降りてくれないと出れないんだけど?」
「あら、失礼いたしましたわ。」
絶対わざとなのだが。
それにさっきから義妹の視線が痛い。
というか千聖は義妹なのに何故俺に押し付けてくるのだろうか?
エロゲ効果か? 羅栖墓裏ではちゃっかりエロゲしてたのか?
(なら滅んでも仕方ないか……)
「あら、何か言いまして?」
俺が裏主人公をしていたであろう羅栖墓に嫉妬をしていたのが声に出ていたらしい。
「いや、何でもないよ。」
「お兄様行きましょ!」
「千聖手を引っ張らないで! 歩きづらいから!」
入学初日の登校がこんなに気づかれするものだとは思わなかった。
「千聖!」
「はい何でしょうお兄様?」
「何で俺を中等部に連れて行こうとする?」
「いやん」
「ごまかすな!」
俺は中学校に連れ込まれそうになるところをどうにか回避し高校へ登校した。