第51話 東堂編
エロゲ転生初めてのサブタイトル名前付け!
チームとは。
学園生が各々で作っている集団のこと。
あくまで任意であり、学園の管理下に置かれているわけではないので基本的に自由。
しかし、このチームで動くことが基本になっていることからチームに参加することは浸透しており、部活動のような位置づけだったりする。
と、俺たちもそんなチームを探している最中に発見した森林の中にある木造家屋。
興味をそそられ訪ねてみると、バスタオル一枚で大人のおもちゃを持っている研究員のような人物に出くわしたのだ。
とりあえず女性のプライべートが晒されているのはよろしくない。ということで花菱さんからおもちゃを取り上げ返したら女性が涙目になりながらビンタのお返しをしてくれた……解せん。
「ゴホン! とりあえず先ほどのことは忘れて自己紹介といこうではないか。私の名前は神田 小鳥三年生だ。主に後方支援を得意とするエッチなお姉さんだ!」
先ほどのことを思い出したのか、自らが言ったエッチなお姉さんという部分で赤面爆発を起こしてしまった。
「そ、そうなんですね! 見たところ何か作っているようですが、あれはなんですか?」
千聖が気を使って話を振る。
気を使えるいい子に育ってお兄ちゃんは嬉しい限りである。
「あれかい? あれは小型爆弾K-156さ。大きさに反してなかなかの威力を誇っているぞ!」
小鳥さんは武器を始め、様々なアイテムを作っているようだ。
話す内容が自分の得意分野だからなのか口がとても滑らかに動いている。
「それでこれは所有者に対して好意を持っている人物に反応する警報機で」
「小鳥さん! みんなの自己紹介がまだなのでそれを先にしませんか?」
作ったアイテムの説明が終わりそうもなかったので無理やり話を断ち切る。
こちらとしてはここで何が行われているか知れればそれでいいので、この場所が小鳥先輩の研究所というだけならもう目的を達成しているのだ。
「それは失礼。とはいったものの、君たちのことは知っているよ。我王君にその妹ちゃんに、花菱と東堂のお嬢様方。どれも今年注目の大型ルーキーといったところだね」
小鳥先輩は俺たちのことを知っていたようで、自己紹介の手間が省けた。
だが三年生の人が新入生のことを知っているのは少し不思議ではある。まあ、俺は財閥の会長、その妹である千聖、花菱グループ令嬢の京華、剣で有名な東堂。
有名といわれればそうなのだろうが、顔までバレているのは何故なのだろうか。
「おっと! 話こんでいたら私のパートナーが来たようだ。実は君たちには以前から目をつけていてね。それを今から話すからもう少し付き合ってはくれないかね?」
小鳥先輩の話も気になるが、件のパートーなーという人物が扉から入ってきた瞬間から小鳥先輩以外の全員の動きが止まった。
――――――東堂 燐音
東堂 可憐の姉である。
「お、お姉ちゃん!」
当然東堂が反応する。
まるで数年振りに再開する肉親に対するような反応だ。
それもそのはず……。
「可憐か……私が家を出て行って以来だから五年ぶりか?」
東堂燐音は物語に直接的には関係してこない。
つまり、ラスボスを倒すためにこの人物と絡む必要はない。
それどころか主人公にとっては決して近づいてはいけない死神のような存在なのだ。
燐音はゲーム本編の舞台となっている街から出さないように設置されている、いわばアンチシステムのような存在である。
具体的には、主人公が隣街へ出ようとすると敵認定してきて殺されるとうものだ。
もちろんゲーム本編を全てクリアし、強さもカンストした状態で挑んでも瞬殺である。
つまり! ラスボスを倒す主人公をも圧倒する絶対的な存在なのである!
赤獅子とどちらが強いかわからないが、あいつと違って主人公を殺しにくる。
絶対に近寄ってはいけない存在が今、目の前にいるのだ。俺の緊張感が伝わったのか、全員が一ミリたりとも動けなくなっていた。
「どうした? 私の顔に何かついてるか? ああ、可憐と私が似ていることに驚いているのか? 私と可憐は姉妹だ。似ていて当然だろ?」
俺が緊張で動けなくなっている中、一人だけ席から立ちあがった人物がいた。
「お姉ちゃん! 会いたかったよ!」
可憐だ。
設定上あまり多く語られていない姉妹の関係。
ゲーム経験者の俺でも知っているのは、容姿が可憐と似ているということと、可憐が語るお姉ちゃんの存在の話ぐらいだ。
それでもほとんどのことはわからず、ゲームユーザー側で東堂可憐の姉は隣街に出ようとすると邪魔をしてくる美少女だろうという推測のみだ。
席から立ちあがった可憐は姉である燐音にいきなり抱き着いた。
「お姉ちゃん! どうしていきなりいなくなったの! 探したんだから!」
東堂家の事情は知らない。
だがこの様子を見る限り、生き別れた姉妹という状態なのはわかった。
そしてとても仲がいいということも。
「可憐許せ。全てを話せないこの姉を」
今度は違う意味で全員が動けなくなっていた。




