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第49話

「フハハハハ! どうだ、身動き一つとれまい! このまま降参してもいいんだぞ?」


先輩が言っている意味が分からなかった、確かに拘束感はあるが、動けないほどではなかった。

 それに、ダメージなど一切入っていないようで、これで負ける要素は見当たらなかった。


「ダメージがないから大丈夫とか思ってないだろうな? 人間は長時間身動きが取れない状態は相当キツイぞ? どうだ、困っただろ! フハハハハ!」


どうやら俺が本気で身動きが取れないと思っているらしい。

 先輩のノリが面白いので少し乗ってみることにした。


「う、動けない!」

「そうだろうそうだろう! さあ降参するんだ!」


何か焦っているのか、やたらと降参を進めてくる。


「こうなったら自滅覚悟で攻撃してやる!」


棒読みになってしまったが、別に演技のオーディションではないので気にしない。

 ほんの少し演技に対する自信がなくなっただけである、何も問題はない。


「や、やめた方がいいんじゃないのか? 俺に攻撃が当たると思うのか? なあ! やめた方がいいぞ!」


もの凄い焦っている。

 当てるも何も、先輩の黒い部分の割合は大きいので外さないだろうし、EARTHの中なので自分へのダメージはない。

 問題はこの状態の先輩にダメージが通るかどうかだが、焦りぐあいを見る限り大丈夫な気がする。


「おっと! 本当にやめた方がいいぞ?」


先輩のトーンが変わったので少し警戒してみる。


「これが俺の得意な魔法だ!」


そういうと先輩は俺とともに自分にも魔法をかける。鈍い光が一瞬光っただけで特にダメージは無かったので、攻撃魔法ではないようだ。


「これでも攻撃するのか?」

「先輩が何を言っているのかわかりませんが……」


俺は少し期待しながら拳を自分と先輩に叩き付ける。


「おっと危ない!」


当たる瞬間に回避をされ、結果自分を殴ることになったのだが、その場合ダメージはないはずであった。


「おお! 今ままでで一番ダメージ喰らった!」


自分のHPゲージが2割ほど減っていたのである。

 EARTHのシステム上自分の攻撃や仲間への攻撃は有効ではないはずだが、先輩が魔法を使った後はダメージが通るようになっていた。


「どうだ? 攻撃するのはリスクが高いだろ?」


得意げにしている先輩だが、先ほど避けられたのはもちろんそれを許していたからである。


「これで終わりですか?」


正直この程度ならどうとでもなる。


「へ? つ、強がりだな! これでお前は俺への攻撃手段を失ったはずだ!」

「う~ん。ならいいです! いい加減体に纏わりつかれるのも嫌なので剥がしますね」


先輩の黒いタイツがビクッとなる。


「は、剥がすだと?俺は今掴めない状態なんだぞ! そんなことできるわけ……」


先輩が言い終わる前に手に鬼の力を宿す。


「な、なんだそれは! 嫌な予感がするぞ! あっ! やめろー!」


先輩の声虚しく、俺は難なく先輩をつかみ取り放り投げた。

 物理的なダメージに弱かったようでそのまま粒子へと還って行った。


「しかし特殊な魔法もあるんだな」


作中には登場しなかった魔法に少し興味を持つが、今使った鬼の力のことが少しわかったことの方が大きい収穫だった。


「いけるとは思ったけど、まさか魔法に干渉できるとはな」


黒い鬼の力は魔法への干渉が可能なようだった。

 俺が魔法を斬れるのもこの力のおかげなのかもしれなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] チート好きな自分にはかなり面白い展開 [気になる点] 主人公と仲良くなっておけば悪役令嬢と仲良くしても問題ないような? [一言] あっという間に現状の最終話に到達して、続きが読めない苦しさ…
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