第48話
「さぁ! かかってきなさい!」
「は、はぁ」
俺は今『ネバNEVERネバ』というチームの一員と戦闘をしている。
このチームはなんというか、凄い独特だ。
まず恰好が凄い!
何が凄いかと言うと、全身タイツというのだろうか?
とにかくぴっちぴちの恰好を全員している。
「い、いきますよ?」
後輩に先手を譲ってくれる優しい先輩なのだが、近寄りがたかった。
「さぁ! きたまえ!」
圧も凄かった! 違う意味で。
俺は一気に踏み込み殴りにかかる。
「ギョッ!」
タイツ人間は俺の踏み込みに対応しきれずにパンチを貰った。
「ん?」
しかし、感触に違和感を覚える。
「あ、危なかった」
なんと避けられてしまった。
捉えたと思ったが、なかなか手強そうだ。
「さぁ! 遠慮せず来なさい!」
避けた後焦っていたように見えたが、演技なのか?
「では!」
今度はフェイントを入れてみる。
カウンターをもらう可能性があるが、防御力に自信のある俺は被弾覚悟で突っ込む。
「あらぁよ~!」
変な掛け声とともにタイツはクネっと俺のパンチを避けようとする。
「ここだ!」
見事フェイントにかかったタイツに本命の蹴りを入れる。
「おふっ!」
見事腹にヒット! したと思ったが感触がなかった。
「なんだ?」
「ゴホッゴホッ!」
タイツは咳き込んでいるが、まともにヒットしたら倒していたはずだ。
「き、君! そ、それは卑怯じゃyないのかね?」
うわずった声で抗議してくる。
「卑怯?」
「相手を騙すような行為をして恥ずかしくないのかね!」
何をこじらせたら勝負の世界で卑怯などと言えるのだろうか。
むしろ一般的な戦い方だと思うのだが。
「なら正面から受け止めて下さいよ!」
「何を言っているのかな? 攻撃をされたら避ける! 当たり前だろう?」
「なら、避けたら当てる!」
「君には正義を教えてあげなければならないようだ」
非常に残念だというような顔をされたが、俺は当たり前のことを言っただけなのだが。
「それでは私からも行こうか」
この会話のうちに攻撃することも考えたが、相手の手の内も見てみたいのであえて待つ。
「来い!」
「ヒョーホホホホホ!」
黒いタイツがクネクネしながらダッシュで近づいてくる。
「きもっ!」
つい本音が出たが、タイツには聞こえていないようだ。
「タイツダイブ!」
タイツが空中に浮いたかと思うと分裂した。
「うっ!」
本当に気持ち悪い動きだった。
タイツ人間が横になりながらクネクネ飛んでくるのだ。
ある意味圧巻だった。
俺は踏ん張って自慢の防御力で耐えることを選択した。
「うっ!」
ぶつかる衝撃がくるが、耐えられる程度だ。
「こんなものか?」
「ハハハ! 捕まえたぞ~!」
自分の体のほうからタイツの声が聞こえたので見てみると。
「きもっ!」
タイツが模様のように俺の体に張り付いていた。




