第43話
新人大会も終わり、平凡な日常がやってきた・・・・・・ような気がする。
あれから別にこれといった事件はない、といっても数日しかたっていないのだが。
これまでに起こった出来事と言えば、ユハナが遅れて‘‘入学‘‘した事と、学園のダンジョン調査に協力しているぐらいだ。
ユハナは、当初転入という形になる予定だったが、入学式が終わってすぐ転入は怪しいということになって、海外にいたので入学が遅れた形ということになったらしい。
「羅栖墓! 今日も調査?」
ユハナが寂しそうに聞いてくる。
「ああ、ユハナすまないな今日も放課後調査なんだ」
「そう」
理解している言葉とは裏腹に、がっかりした感情が伝わってくる。
「羅栖墓ー!」
「おわっ! なんだ? 美咲!」
最近なんか馴れ馴れしくなった小麦色肌美人の喜屋武美咲が後ろから抱き着いてきた。
「入るチーム決まった?」
美咲の言うチームとは、部活みたいなもので強いて言うなら兵棋演習部といったところか。
この世界の有名なスポーツといえばウォーゲーム、というかこの世界の設定上ウォーゲームしかない。
なんてぶっ飛んだ世界観とは思うが、ゲーム作成側の都合だと思っている。
ウォーゲームと聞いたら個人戦を思い浮かべるだろうか?それとも集団戦?
いや、このゲームでは‘‘両方‘‘なのだ。
大会を開催するときは、ウォーゲームシングルや、ウォーゲームキャッスルなどの名前がつく。
「う~ん、流石に忙しくてまだ決めきれないな」
この学園にはウォーゲームのチームに入る人が多く、プロのウォーゲーマーを目指す人も多い。
入学して1か月くらいは色んなチームを見て回って、5月に実際に入ってみるというのが流れ的には自然だ。
「へ~、確かに羅栖墓まだ1回も見学してないね」
「そうだな、最悪自分で作るってのもありかな」
何気ない一言にクラスの連中の視線が一気に俺に集まる。
「え?」
戸惑っている俺に主人公こと、来栖勝利が理由を教えてくれた。
「羅栖墓君、君はこのクラスでは注目の的なんだよ?」
「注目の的? 我王グループ会長だから?」
「いや、それもあるけど君の戦闘力の高さでだよ」
戦闘力の高さで注目されるような活躍は皆には見せていないはずだが。
呆れた顔で勝利が言う。
「Aクラスの牙城君倒したでしょ?」
「え? でもあんまり見に来てる人いなかったんじゃ?」
「あんまりね、でも何人かはいたんだよ」
その何人かが牙城との勝負を広めたらしい。
「お、おう、そうかでもクラス内だけだよな」
「・・・・・・」
来栖が意味ありげに沈黙した。
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『Sランクパーティから追放された不遇職エンチャンターは底辺から成りあがる~恋人にも見捨てられたのでざまぁを執行します~』
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