第42話
試合は赤獅子が圧倒していた。
東堂を破ったアルフォンスは間違いなく強い。
同じ年代なら敵なしだろう。
だが、上には上がいることを赤獅子が体現している。
「アルフォンス・サルバトーレ!こんなものか?それで最強を名乗っていたのか?」
赤獅子がヒートアップしている。
「クソッ!」
ついにアルフォンスの限界がきたようだ。
「このまま終わるのか?興醒めだな」
赤獅子がつまらなそうに呟く。
「そうでもないさ!」
アルフォンスが急に地面に倒れこむ。
赤獅子は何も言わずニヤリと笑った。
と、同時に地面が爆発する。
「ハッ!そんな攻撃は通らんぞ!」
土煙があがり、アルフォンスの姿が見えなくなった。
「くらえ!」
赤獅子の死角からアルフォンスが攻撃をしてくる。
「その程度か?」
赤獅子は急襲してきた腕を掴み取る。
「どの程度か試してみなよ!」
アルフォンスはそう言って逆の手で赤獅子の胸倉を引き寄せた。
「なっ!」
同時にアルフォンスの身体に魔法陣が浮かんだ。
魔法陣が起動すると眩い光と共に爆発が起きた。
「自爆!」
隣で花菱さんが驚いたような声を上げた。
「自爆?錬金術師はそんなこともできるのか?」
「いえ、普通はできませんわ、アルフォンス程の才能と‘‘無理やり‘‘行使したので自爆という形になったのではないでしょうか?」
「爆破魔法を素早く高威力に放つために自爆にしたのかも」
東堂が補足を入れてくれる。
「本来は使えない魔法ってことか?」
「厳密には誰でも使えますわ、しかし実践レベルで相手にダメージを入れるとなると直接殴りに行った方が効果的ですわ」
使えはするけどアルフォンスみたいに高威力は出せないということらしい。
そんな不適合な魔法を高威力で発動するアルフォンスも、確かに天才と呼ばれる1人なのだろう。
「あ!」
千聖が赤獅子とアルフォンスの方を見ながら声を上げた。
「赤獅子が勝ったか」
闘技場には赤獅子が立っており、アルフォンスが倒れて粒子になって消えていくところだった。
「フハハ!最後のあがき悪くはなかったがまだ俺には届かないぞ!」
なんと赤獅子はあれだけの攻撃を受けても無傷だった。
「貴様、なかなか見どころがあるな励めよ」
赤獅子はそう言って消えた。
「赤獅子...」
「気になりますの?」
「まぁ、今度戦うわけだし」
「羅栖墓様なら大丈夫ですわ!」
「実際に戦った人に言われると説得力があるな」
「ええ、実際私は赤獅子に本気を出させてはいませんけど、戦った感じ羅栖墓様ほどのプレッシャーは感じませんでしたもの」
俺に惚れているとはいえ、そう言われると素直にうれしい。
「そうか」
こうして新人大会は赤獅子の圧倒的勝利に幕を閉じた。
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『Sランクパーティから追放された不遇職エンチャンターは底辺から成りあがる~恋人にも見捨てられたのでざまぁを執行します~』
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