第37話
「羅栖墓様ぁ~。怖いですわ~」
ここぞとばかりに花菱さんが抱き着いている。
「花菱京香!こんな男より俺を選べ!」
「嫌ですわ!私は羅栖墓様に惚れていますの!」
「ハハハ!いいだろう俺が惚れさせてやる!」
地獄だ...
俺を挟んでやらないで欲しい。
「我王羅栖墓!貴様!家の力で花菱京香を縛り付けているな!俺が貴様など足元にも及ばないことを証明してやる。」
「俺は戦わんぞ!」
勝負を挑まれそうだったので先に断っておく!
「貴様!逃げる気か!」
「赤獅子!戦いで花菱さんの心が動くなら最強のお前に惚れているはずだろう?」
「む!確かに...」
よしよし、言いくるめることができそうだ。
「そうでもないですわよ?」
なんか悪役令嬢様が邪魔してきた。
「私は、羅栖墓様の漢らしい気迫に惚れましたの、赤獅子様には申し訳ありませんが羅栖墓様の足元にも及びませんわ。」
「な、なんだと!」
火に油を注がないで欲しい。
「いいだろう!羅栖墓!貴様の挑戦を受けてやる!首を洗って待っておけ!」
挑戦してないんだが?
「ふふっ、羅栖墓様の凄さを味わうといいですわ!」
「花菱さん!」
「羅栖墓様!だめ...ですか?」
胸元に抱きつきながら上目づかいは卑怯だと思います。
「だ、だめとは...」
「羅栖墓!貴様許さんからな!」
俺に抱き着いている花菱さんをみて怒った赤獅子は捨てセリフを言って去っていった。
「これって戦うの?」
「お兄様がはっきり断らないからです!自業自得です!」
千聖が頬を膨らませてプンプンしていた。
あまりよろしくない流れだが、命のやり取りをするわけではないのでまだマシなのかもしれない。
しかし、日に日に花菱京香のデレデレ度が増してきている気がする。
俺にとってはこっちの方が死活問題なのだ。
新人大会は、東堂さんを倒したアルフォンスに勝てる相手ではなく決勝の組み合わせが決まった。
「最強の赤獅子VS飛び級のアルフォンスか!楽しみだな!」
純粋に楽しみになってきた。
「試合も終わったし、ユハナ迎えに行くか。」
「そうですわね!」
「うん。」
千聖と花菱さんが同意する。
俺達は試験を受けているであろうユハナの元に向かった。
そう、ユハナは学園長に入学の意志を伝えるとすぐ試験という鬼畜対応をされていた。
「まぁ、いきなり試験とは驚いたが流石に内容厳しくしたりしてないよな?」
「そこは大丈夫だと思いますわ!多分学園長もなにか考えがあってのことだと思いますもの。」
俺達は心配しつつもかえって即日試験の方が難易度は下がるんじゃないかと思っていた。




