第34話
本日ラスト投稿
「えっと...」
「フフッ!困らせてしまいましたわね!冗談です!新人大会優勝で羅栖墓様の心を射止められるとは思っていませんわ。」
冗談に聞こえないところが怖い。
「けれど、もし優勝したら何かご褒美を下さらない?」
「ご褒美?」
「ええ、具体的には羅栖墓様と2人でデートがしたいですわ!」
「デ!デート!?」
忘れてはならない、この世界のベースはエロゲだ。
エロゲで、デートと言えば既成事実を作られるのに持って来いだ!
「あら、私のこと嫌いですの?」
そんな上目使いで言われたら嫌いとか言えないです!
「わ、わかった!優勝したら2人でデートしよう!」
「ふふふ。ありがとうございます。これで優勝できそうですわ!」
俺は自ら修羅の道へ歩を進めてしまった。
「それに、拒絶されなかったということは...ありますわね。」
悪役令嬢様がなにか不穏なことを言っている。
「話は終わりかな?」
「ええ、それでは戻りましょうか。」
俺達は解散しそれぞれの家へ帰った。
千聖と一緒に家の門をくぐると何か小さな生き物が俺に抱き着いてきた。
「ユ?ユハナ?」
「メイド...怖い」
「へ?」
「ユハナ様!採寸を致しますので大人しく...羅栖墓様お帰りなさいませ!」
今現れた人はうちで働いてもらっているメイド榊原 百合江さんだ。
「百合江さんお疲れ様!はい。」
俺はユハナを手渡す。
「ありがとうございます!」
ユハナは絶望した顔でこちらを見る。
「ユハナ、君は生活するために色々揃えないといけない。大変だろうけど数日の辛抱だよ。」
「す、数日」
ユハナは遠い場所を見ているかのような物憂げな表情になった。
「千聖中入ろうか。」
「はい!お兄様!」
待たないで先に入っててもらって良かったのだが、千聖は俺を待っていた。
俺達はドナドナされていくユハナを横目に家に入った。
夕食の時間になり、ユハナも席についている。
食事をしていると、ユハナが話しかけてきた。
「羅栖墓。」
「ん?なんだ?」
「私も学校行きたい!」
「初等部か?いいぞ!」
「違う!私そんな小さくない!」
「冗談冗談!中等部だろ?いいぞ」
この家は俺が決定権を持っているのでユハナに許可をだす。
「もう!冗談やめて!高等部だよ!」
「...」
「...」
俺と千聖の沈黙が響く夕飯時だった。