第33話
東堂が粒子になって消えた。
つまり、アルフォンスは学年2位を倒したのだ。
主人公の越える壁が多くなって大変そうだが、俺の知ったことではない。
「アルフォンス様が強いのは知っていましたが、まさか東堂さんを倒してしまうとは...」
「とんでもない天才だな。」
俺は東堂の強さを身をもって知っているのでアルフォンスが運だけで勝てる相手ではないのはわかる。
「あ、お兄様!京香お姉様ですよ!」
京香お姉様?いつの間にお姉様という関係になったんだ?
「やはりお姉様は強いですね!」
俺が別のことに気を取られていると花菱さんが勝利を収めていた。
今日の試合はこれで終わりのようで、ベスト8が出そろったようだ。
「東堂さんと花菱さんを迎えにいくか。」
「はい!」
東堂さんと花菱さん2人と合流して談話スペースで今日の反省会をしていた。
「まず、私ですが今日は相手の実力が完全に格下でしたので問題なかったですわ。」
「そうだな、普段通りの実力を出していたし言うことないんじゃないか?」
「そうですね、強敵との想定ができないのは痛いですが、それでいつもと違う戦い方をしては元も子もありませんからね。」
「そうですわね、むしろ強敵相手でも同じような戦い方をできれば勝機はつかめますわ。」
花菱さんの戦いは概ね肯定的だった。
「私は、アルフォンス君の1戦が悔やまれる。」
東堂さんの評論に移る。
「ああ、接近戦に持っていくというのは絶対だったからあの判断は間違ってはいなかったがトラップへの対応が課題だな。」
「そう、あの戦いで私は接近戦に持ち込まないといけないということに意識を取られトラップの警戒が全くなくなっていた。」
「単純だが難しい問題だな。戦闘中の思考力UPか。」
「思考はしてもいいけど、体も勝手に動くぐらい鍛えないとダメ。」
簡単に言えば、対応力のアップだが、それは日頃からやっている故にいきなり解決できる課題でもない。
「そういえば次の対戦相手はいつ発表されるんだ?」
「午後18時ですわ。明日で準決勝まで行って、明後日に3位決定戦と決勝ですわ。」
「そうか、じゃあ今日はもうゆっくり休んで明日に備えないとな。」
「そうですわね、羅栖墓様!2人きりでお話ししたいことがあるので時間をもらっても?」
「あ、ああいいぞ。」
嫉妬深い千聖が何も言わなかったのは不思議に思ったが、話すだけなら問題ない。
俺たちは2人で薄暗くなった中庭に出た。
「羅栖墓様!私が優勝したら結婚してくださいませ!」
受け流せなさそうな雰囲気で言われ俺は硬直してしまった。
ヤ、ヤバイ!死神案件だ!
今日はあと1話投稿予定です!




