第27話
「邪竜!」
先生がパントマイムをしながら呟く。
「邪竜?」
その竜は、所々皮膚が爛れており、俺からみたら手負いの竜といった感じだ。
「邪竜は文献にしか載っていない伝説のモンスターよ! 危険だから逃げて!」
「逃げてと言われても……」
俺は試しに扉のある”場所”を蹴るが。
ドガーン!
「きゃあ!」
「あ、先生すいません!」
先生を驚かせてしまった。
しかし、入ったときは破壊できた扉も”今”は破壊できない。
「ま、そんなとこだろうと思ったよ」
1人が挑戦している間あの扉は絶対開かないのだろう。
「先生! どうやら逃げれないようだ。倒すしかねぇ!」
「そ、そんな!」
透明な扉に色が付き始めていた。
「俺の戦い見れなさそうだから先生先に帰っていてくれ! 今モンスターが先生を襲っても助けられない!」
先生が困惑してるうちに扉が完全修復されてしまった。
「待たせたな!」
俺は竜に振り返り武御雷を抜く。
「て!待ってなかったのね!」
竜は親切に待っていたわけではなく口の中にエネルギーを溜めていた。
「ブレスってやつか!」
竜が大きく口を開ける。
「ヤバそうだな!」
俺は悪寒を感じたので急いで”オーラ”を纏う。
その瞬間竜のブレスが俺を襲う。
「ちょ! 無理!」
避けようと試みるが、範囲の広さとブレスのスピードが速くて間に合わない。
ブレスが俺を包み込む。
「うおぉぉぉぉぉぉおおお!」
俺は正面からブレスを受け止める。
「おわっ!」
俺は耐え切れず吹っ飛ばされ壁に叩き付けられる。
「防御的には耐えれるけど、踏ん張りが効かないな!厄介だ。」
鬼の力を使って初めて押された経験だった。
「おや?」
竜が少し辛そうにしている。
「ブレスの反動か?」
ニヤァ!
思わずにやけてしまった。
「よっしゃあ!チャンス!」
竜の目が怯えたような色を見せる。
「オラ!」
竜を殴った瞬間”ソレ”は起こった。
「な、んだ?」
走馬灯のような何かが流れ込んでくる。
”ソレ”は少女の夢のようなものだった。
小さな少女は母や父を殺され、フードを被った男に連れ去られる。
気が付いた時には何か大きな石のようなものに自分が”埋まって”いた。
自分の力が吸われるのがわかる。
少女は何かのエネルギー源にされたのを悟る。
「これは……」
俺は竜を見つめる。
「眠っておけ!」
俺が竜に掌底を喰らわせる。
竜は意外と簡単に沈む。
部屋の奥に見える扉の前まで移動する。
「ここか」
この扉の向こうにいるのを存在を感じる。
俺は扉に手をかける。
抵抗を感じたが、鬼の力を強めに込めたら抵抗がなくなった。
扉の向こうには先ほどみた”夢”と同じような光景があった。