第25話
「よし! 俺の勝ち」
あの後は俺の圧勝だった。
「流石ね」
「先生は、転移が主みたいだから戦闘向きじゃないでしょ?」
「はぁ、確かに転移だけだったら決定打に欠けることもあるわ。けど、私は時空間に魔法とか武器を大量に保存してるのよ? そんじょそこらの魔術師より強いに決まってるじゃない?」
「な、なるほど。確かに東堂と花菱さんの弾幕訓練がなかったら負けてたかもしれないですね」
「私の弾幕に対応できる訓練って……あなた一体どんな鍛え方してるのよ」
「まぁ、これでお互いの実力も大体わかりましたよね?」
「ええ、あなたの底はまだ見えないけど心配はなさそうっていうのはわかったわ」
「ありがとうございます! では週明けによろしくお願いします!」
「ええ、あなたの彼女さんを待たせても悪いし、週明けからは私が独占しちゃうしね」
「彼女ではないんですが!?」
「あら、あんなに健気に寄り添ってくれているのに?」
「ええ、好意は寄せられているのはわかるんですけど、俺が受け入れてないので」
「あら、男としてはっきりさせた方がお互いの為よ? それでも無理やりついてくるならしょうがないけど」
先生にそう言われてちょとズキッとくるものがあった。
出来れば受け入れたい。
けど、受け入れるなら”死”を覚悟しなければならない。
そんな勇気俺にはないので、はっきりと拒絶するわけにもいかず今の中途半端な状態なのだ。
「そう、ですね色々あるので難しい問題なのが痛いですが」
「我王家も色々あるのね」
この状態を家の問題が関係していると推測したようだ。
「じゃあ、週明けよろしくね!」
先生とはそう言って別れた。
「お待たせ」
「羅栖墓様流石ですわ!」
花菱さんがいつものようにタオルと飲み物をくれる。
「ありがとう。それで、週明けからなんだけど学校休むことが増えると思うんだ」
「ええ、新人大会は出ないですものね」
「ああ、だから暫くは千聖のことよろしくね」
「はい、お任せ下さい!」
「そういえば、千聖は今日東堂さんと訓練してるんだっけ?」
「ええ、お兄様の役に立てるようにと必死にがんっばっておりますわよ」
「ハハッ。自分の為になるしいっか」
「そうですわね、でも羅栖墓様に好意を寄せる女性は増えると思いますわ!」
「へ?」
「文武両道、我王グループの会長、そして整ったお顔! ライバルが増えるのは必然ですわ!」
「えっと、持ち上げすぎじゃないかな?」
俺としては、来栖の成り上がりがあるのでそこの方が人気でるはず。
「いいえ、なので羅栖墓様の隣を歩くのに色んな実力を兼ね備えなければなりません!」
「大げさだとおもうけど……」
「大げさではないですわ! でも、羅栖墓様が気にすることでもございませんわよ? 隣に立ちたいと願う女性が勝手に想うことですから」
「程々にね」
そういう花菱さんも相当努力を積んでいるのだろう。
俺のせいで倒れられても困るので自分を大事にしてもらいたい。
「ええ、心得ておりますわ!」
その日はこれで終わり、あとは週明けに備えるだけだった。




