第23話
「副学園長は時空の魔女と呼ばれていて、その名の通り時空魔法の使い手として有名ですわ!」
「時空魔法?」
「ええ、自分が転移できるのはわかると思いますが、”物”や”生き物”も転移させることが可能ですの」
「つまりは、その転移を駆使して攻撃してくるってこと?」
「はい、その場合一番厄介なのが、近づけないことですわ」
七夕先生はかなり有名な魔術師らしい。
「わかった、対策法とかある?」
「今のところ、副学園長の転移のスピードを上回るか、転移場所を当てるか、魔力切れを起こさせるかですわ」
「なるほどね、どれも難しそうだ。」
「あら? そうですの? 羅栖墓様なら”どれも”簡単に出来ますわよ!」
花菱さんが俺にアドバイスをくれる。
転移のスピードを上回るとかできるのか? 俺には到底無理そうに思えるが。
「じゃあ、行ってくるよ!」
「ええ、行ってらっしゃいませ!」
こんな美人に見送られて負けるわけにはいかないな。
俺はEARTHにリンクする。
「あら、顔がにやついてるわよ? そんなに楽しみだった?」
中に入ると。先生が先に待っていた。
「美人をみると幸せな気持ちになってしまうもので」
「あら、嬉しい誉め言葉ね」
今の”美人”は花菱さんを指しているのだが、そこは黙っておこう。
「それじゃあ、制限なしの3本勝負でいいかしら?」
「はい、それでお願いします!」
「それじゃスタートね!」
そう先生が宣言すると、5秒のカウントが始まった。
お互いに得物を抜く。
今回俺は武御雷を持ってきていない。
何となく、新しい武器は使ってはいけないような気がした。
修練場中央にSTARTの文字が躍る。
「ハッ!」
先生が早速”武器”を転移させぶつけてくる。
俺はそれを捌きながら呟く。
「武器が転移するのは分かるけど、ここまで飛んでくるエネルギーはどうしてんだよ!」
「あら、私は魔術師よ?」
確かに優秀な魔法使い(魔術師と魔法使いの明確な区分はないのでどちらでもOK)なら詠唱なしで簡単に魔力を操れるが、魔力切れを起こしたら負けの状態で魔力はできるだけ抑えたいだろう。
なので、他の方法があると思っていたが、今武器の軌道をみていて気付いたことがある。
「なあ、軽い武器なら方向転換させて狙わせた方がよくないか?」
軽い武器ならそこまで魔力を込めなくても方向転換出来るはずだ。
「ふふ! どうしてやらないのかしらね?」
こちらの質問に答えてヒントを与える気はないらしい。
「ま、こういうことだろ!」
俺は飛んでくる武器達に自ら突っ込んでいった。




