第17話
今日は、あと2~3話投稿予定です。
「では、お願いします!」
「はい!」
ガキン!
刀と刀が打ち合う。
俺は東堂さんに絶賛指導をしてもらっている。
俺の力に東堂さんは押されるが、上手く体をずらしながら攻撃を流した。
態勢を崩した俺は、無防備な状態になった。
そこに容赦なく東堂さんの鋭い一撃が入り俺は負ける。
のが普通だと思うが、態勢を崩しただけでは俺に隙は生じない。
というか、一般人なら態勢を崩したといってもいいが、俺からしたら全く崩れていない。
そこから切り返し反撃をする。
東堂さんがビックリした表情で俺から距離をとる。
「反則……」
東堂さんが呟く。
「オイオイ!俺は反応できたから反応しただけだよ!」
全く持って言いがかりである。
「でも、分かった」
そういうと、東堂さんが距離を詰めてくる。
俺が反撃をしようと構えたところで東堂さんが消えた。
「なっ!」
俺は首を振って周りを見回す。
後ろに回ったかと思ったがいない。
すると、首筋から鳥肌がっ立った。
「オラッ!」
俺は条件反射のような状態で、刀を振る。
ガキン!
「認識は外していたはず、なんで防げたの?」
俺は東堂さんの攻撃を防いでいた。
「に、認識を外す? それこそ反則だろ!」
「その反則技を防いだ人に言われたくない。」
確かに、こんな凄い攻撃を初見で防ぐのは尋常ではないと思う。
「でも、私の勝ち」
そういうと、東堂さんの姿がぶれた。
次の瞬間には俺の首筋に刀が押し当てられていた。
俺の負けが宣言される。
「いつの間に!」
修練モードに切り替えて東堂さんに今の状況を聞いてみる。
「認識をずらしただけ。」
「認識をずらす?」
「そう、あなたに私のスピードを慣れさせた。」
「俺が東堂さんのスピードに慣れる?」
「そう、人は目で認識した攻撃を予想して対応する。」
攻撃が到達する前に、このタイミングで攻撃が到達すると予想することだろう。
「そのタイミングを相手の反応できない距離やスピードを使ってズラすの。」
「それで、俺の防ぐタイミングをズラしたってこと?」
「そう、あなたの頭の中では防げていたはず」
確かに。
「この技を使えば相手の態勢も崩せるけど、あなたは態勢を崩しても意味ないから攻撃を通すことを優先した」
凄い技術だ。
しかも俺に勝つために一瞬でその判断をした”戦術”。
東堂に頼んでよかった。
俺はそれから、東堂に剣士としての基本を学んだり、戦術について教えて貰ったりした。
「あなた、化け物? 吸収が早すぎる。さっきまでど素人の動きだったのに」
言い得て妙、というか実際化け物の力を持っているのだが。
師匠は恐ろしく勘がいいらしい。




