第15話
「き、君は?」
「大鳳弥生と言います。」
学級委員長風の眼鏡の女の子が話しかけてきた。
「花菱さんがここまで覚悟を決めていらっしゃるのです! どういう結果になろうと全力で戦うのが男でしょう!」
俺はそこまで熱い男になったつもりはないのだが……。
しかし、みんなの手前断れない。
「わかったよ。だが牙城! お前もそれ相応のものをかけてもらおう!」
「いいぜ!なら俺自身でどうだ?」
「お前……」
「フフ! 俺の覚悟にビビったか?」
「体を張ってくれる友達いないんじゃ?」
「なんだと! なわけねーだろ! おいおめぇら! 俺のために体張ってくれるよな!?」
サアーっと人が引いた。
「なっ! そんなことはどうでもいいんだよ! さっさと修練場いくぞ!」
悲しいかな、歩く彼の姿は哀しさが滲み出ていた。
修練場に着くと椅子型端末EARTHに入る。
「制限はなしだぜ!」
お互いにリンクを開始する。
「手加減なしでいくが終わるなよ!」
なんかかっこいいセリフを言いながら相手は武器を構える。
修練場中央に現れたカウントが0になりSTARTの文字が表示された。
「オラ!」
牙城は魔法銃と魔法を駆使して戦う。
魔法銃は魔法陣が発生しないので非常に速い攻撃速度を誇る。
魔法銃で攻撃しながら、魔法で相手の行動を制限していって追い込む非常にいやらしい戦法だ。
「よっと!」
「なっ!」
しかしその肝心の魔法銃の攻撃が斬れそうだったので斬った。
そのまま接近して攻撃をする。
「なめんなよ!」
ガンカタというのだろうか?
なんと、銃と魔法を駆使して俺の接近戦についてきていた。
身体能力では完全に圧倒しているのだが、なかなか決めきれない。
「くっ!なんなんだよ! 」
疲弊してきた牙城が距離を取るため俺の足元で魔法を爆破させた。
「くそっ!これでも喰らえ!」
牙城はそういうと首から下げているネックレスを引きちぎった。
すると、銃に魔力が集まる。
「フルバースト!」
単純にアイテムを使って魔力を増幅させたのだろう。
まばゆい程の光が羅栖墓を襲う。
練習ならくらってもいいが今は人を背負っているのだ危険な道は侵せない。
足にオーラを纏わせ回避する。
「逃げられないぜ!」
なんと! この攻撃は威力が上がっただけではなく追尾機能もあるらしい。
俺は全力で疾走する。
「ハハハハハ!おい駆けっこはいつまで持つかな!」
俺のスピードがどんどん上がる。
「おうおう! 頑張るじゃねえ……か?」
牙城が疑問形にかわる。
俺はついに牙城の攻撃を”追い抜いた”。