第12話
「よっと!」
『ドカーン!』
「やっべ!あと10分しかねぇ!」
現在鋭意ダンジョン攻略中です!
まぁラスボスの力を手に入れた俺に1年生用のダンジョンなんて朝飯前なのだが、いかんせん制限時間がもう少しのところまできている。
モンスターを1匹1匹倒すのはめんどくさいので刀を振り回しながら通路の中央を走っている。
そんなことをしていると、斬撃を飛ばせるようになっていた。
一応最強の力を持っているとはいえ、成長していることに安心した。
「成長しなかったらいずれ来栖に負けちゃうもんな」
「お! 90階か、急げば100階いけそうだなっと!」
通る”ついで”に死神みたいなモンスターを倒す。
「よし! まだまだ問題ないな!」
90階層から99階層までをアイテムや隠し部屋を無視して突き進む。
◇◆◇◆
モニタールームにて。
「なんてやつだ……ダンジョンは基本踏破できないレベルに設定されているはずなのに」
細身の男性教師は驚愕している。
「もしかしたら噂は本当なのかもな……この映像を持って学園長に報告せねば」
◇◆◇◆
「よし!入るか!」
ついに100階層目である。
これで攻略かと思うとあっけない気はするが、まぁこの学園のダンジョンを体験するという意味では良かったのではないだろうか?
ボス部屋に入ると、壁際にある松明達が一斉に明かりを灯す。
「どんなボスかな?」
『バサッ! バサッ! バサッ!』
上から大きな黒い塊が降りてくる。
「なんだありゃ?」
念のため刀を抜いておく。
「ドラゴン?」
それは、漆黒の巨大なドラゴンだった。
「ハッ!最終ボスにふさわしいカッコよさじゃねぇか!」
『ドーン!』
ドラゴンが降りたつ。
『グルルルッ!』
唸り声を上げている。
猫とかが喉を鳴らすのと同じ原理か? 可愛いやつめ。
するとドラゴンがいきなり口を開けた。
「ん?」
その口が赤く光ったと思ったら今まで見たことないような炎の塊が飛んできた。
「よいしょー!」
強そうな攻撃だったので気合を入れて炎を”斬った”。
「意外と斬れるんだな。」
吐いたブレスは恐らく魔法の類だろう、斬ったときに違和感を感じた。
そのまま走りドラゴンの強さ試す。
「ちょっと他の奴より強そうだから、強めにいくぞ!」
『ドガーン!』
ドラゴンを強めに殴ってみた。
「嘘だろ」
なんとドラゴンが俺のパンチを耐えている。
正直物語序盤であろう現在でラスボスの力を得た俺に抵抗できる奴はいないと思っていた。
これは考えを改める必要がありそうだ。例えばだが、本編では戦わない強キャラ設定のやつや、負けイベントでしか戦わないキャラなどがそれに当たるだろう。
「ハハッ!お前は一味違いそうだな!」
そういって気合を入れなおし、俺はドラゴンにもう一発お見舞いして距離を取る。
すると巨体を揺らしながらしっかりとこちらを見ながらドラゴンが倒れた。
『ドーン!』
「へ?」