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これって恋ですか?  作者: 紅-kou-
6/6

男の人ってこんな感じなんですか?

「じゃあ、そのたくさん書いた感想を読ませてもらおうかな。」


「結構量ありますけど、店の方はいいんですか?」


楓さんは普通にレジで読もうとしたので尋ねてみた。


「いいよ、いいよ。どうせこの時間はそんなにお客さん来ないし。もし来たら美来ちゃんに対応してもらうしね。」


「え!?」


友達もいない私が接客なんてできるはずがない。

本気で言っているのだろうか。


「冗談だよ。」


冗談だった。


「大事なお客さまにそんなことはさせませんよ。こちらに座って待っててください。」


この本屋はそこまで大きくはないのだが座って本を読めるスペースが少しある。

私は言われた通りそこで待つことにした。

感想を読む楓さんの横顔は相変わらず綺麗で、本ではなく楓さんを見てしまう。

さっき大学の講義って言ってたから大学生なんだ〜。いくつなんだろう。好きな食べ物はなんだろう。趣味はやっぱり読書かな? 読書だったらいいな。

見れば見るほど楓さんのことを知りたくなってしまう。

楓さんが私の感想を、私が楓さんの顔を見続けること数時間。

感想を読み終わったのか楓さんが私の方を見て手招きしてきた。


「読み終わったんですか?」


私はレジに向かった。


「こっちちょっと入ってきて。」


なぜか楓さんはレジの中に入れてくれた。

そして楓さんは窓の外を指差しその先には綺麗な夕日があった。


「わぁ! すごいですね。何年もここに来てるのに初めて見た。」


目を細めないと見えないくらいまん丸に輝いていた。


「レジの中からじゃないと見えないみたい。俺も働くようになってから知ったんだ。」


「よかったんですかね? ただの客が見ちゃっても。」


「いいよいいよ。こんな綺麗な景色一人で見るなんてもったいないし。」


確かに一人で見るには勿体無い。大事な人と見たい、そんな景色だった。


「あと美来ちゃんはただの客じゃないよ。大事なお客さん。ってさっきも言ったでしょ?」


「それ、来るお客さん全員に言ってますよね?」


「バレた?」


バレたっていうその笑顔、さっきの夕日より綺麗です。


「あ、でもその中で一番大事なお客さんは美来ちゃんだよ。」


「え?それって………」


「だって一番買ってくれるからね。」


なんなのだろう。男の人ってみんなこんな感じなのだろうか。


「もう!からかわないでくださいよ。」


そう言いながら窓に目をやると、夕日は沈んでしまっていた。


「あっ、夕日。」


「もうこんな時間か、そろそろ店閉めないとね。美来ちゃんも気をつけて帰りなね。」


楽しい時間はあっという間だなぁ。

明日も来ますって言ったら引かれちゃうかな。


「は、はい。じゃあノートを。」


「あ、このノート今日一日借りてもいいかな? まだ感想読めてないし。ダメかな?」


「ぜひどうぞ。じゃあ明日取りにきますね。」


やった。明日も会えるかも。


「ごめん、明日は本屋休みなんだ。」


会えなかった。流石に四日連続は欲張りすぎた。


「だからもしよかったらなんだけど、大学まで来てくれないかな?」


「え?」


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