どうしてますか?
すぐ家に帰りさっき買った本を読んだ。
内容はいたって普通の恋愛小説。
前にトメさんが「女子高生は恋せなあかん」といい薦めてきた小説である。
正直友達もいないのに恋愛なんてと思ったが、トメさんに薦められたのだから仕方がない。
と思って読んだが、私はこの小説にハマりママにご飯だよと呼ばれるまで読み続けた。
ご飯を食べ終わった後も読み続け、結局1日で読んでしまった。
次の日の学校でも、同じ小説を読んでいた。
ただ女の子が年上の男性に恋をしていろいろの障害を乗り越えて幸せになる話なのに。
学校で2周目が終わり、帰り道に3周目を読もうとした時ちょうど本屋の前だった。
「感想教えてね。」
ふとバイトさんが言った言葉を思い出した。
「と、トメさんこと気になるし、今日も行ってみようかな。」
別にバイトさんに会って感想を言いたいとじゃないけど、今日もいたら緊張して話せなくなるので深呼吸だけしといた。
ガラガラ
「こん…にちは。」
今日は笑顔で迎えてはくれず、読書中だった。
本を読んでる姿も綺麗で、見とれてしまった。
「あ、いらっしゃい。また来てくれたんだ。」
こちらに気づいたのか本を閉じ挨拶をしてくれた。
「は、はい、ただ今日は本を買わないです。すいません。」
少し最初躓いたがちゃんと話せた。
「全然いいよ。本を買ってくれる人だけがお客さんって訳でもないしね。ゆっくり見てって。」
私はお辞儀をし、逃げるように小説コーナーに行った。
そこで適当な小説を手に取り、読むふりをしてバイトさんに話しかけるタイミングを伺った。
チラチラと何回か本の上の部分から覗いていると5回目でバレた。
「どうしたの?」
声をかけられたので私はとっさに本で顔を隠してしまった。
数秒経ち、さすがに無視は良くないと思い、勇気を出して話かけた。
「あ、あのトメさんはどうしたんですか? 」
ちゃんと言える事が出来た。
顔は本で隠したままだが。
「えっと……、トメ婆は入院してるんだよね。」
「え? 」