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これって恋ですか?  作者: 紅-kou-
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始まりですか?

初めてだった。

毎日誰かに会いたいと思うなんて。



「美来〜朝よ〜」


ママの声が聞こえる。

まだ鳴ってもいない目覚まし時計を止めようとし、鳴ると同時に止める。

ママはいつも目覚ましより少し前に起こしてくれる。

だから私にとって目覚まし時計が保険だ。


「またやっちゃったな。」


最近ほぼ毎日、本を読んでいて寝落ちしてしまう。

夜更かしについてはさほど問題ではないが、どこまで読んだか忘れてしまうから困っている。


「電子書籍にした方がいいのかな…。」



電子書籍は買いに行く時間も省けるし、荷物にもならない、何より寝落ちしても大丈夫。

しかし紙独特の匂いや、本屋さんの雰囲気が好きで紙から離れられない。

これが最近の悩みである。

女子高生にしては地味すぎかな。

周りのほとんどの子の悩みは恋愛関係だというのに。

なんて考えながら閉じてしまった本をパラパラとめくりどこまで読んだか探した。


「何やってんの? 遅刻しちゃうわよ?」


ママにもちゃんとスヌーズ機能がついてたようだ。


「はーい。」


多分この辺だろうというところに栞を挟み一階へと降りた。

一階へ降りると朝ごはんが並んでいた。

目玉焼きとサラダ。

いたって普通の朝ごはん。

私はパン派なのでこれにトーストが付く。


「あんたまた本読んでてそのまま寝てたでしょう?」


私が食べるであろうパンにバターを塗りながらママは質問してきた。

私はそのパンを受け取りそのまま口にくわえた。


「うん。今読んでる本が面白くてね。」


「本読むのもいいけど、友達もちゃんと作りなさいよ。今日から二年生なんだし。」


朝ごはんを食べ終え、学校に行く身支度をしている私には行きたくなくなる一言だった。


「……うん、頑張る。じゃあ行ってきます。」


学校はそんな遠くなく歩いて15分くらい。

自転車で行けば? とママやパパに言われたが自転車だと本が読めないため歩いて行っている。

(実のところ何年も乗っていないから乗れないかもしれないというのが本当の理由だ)

「友達かぁ。」


ふとママが言ったことを思い出してしまった。

自慢じゃないが今の学校には友達はいない。

しかし別の学校に中学からの親友が一人いる。

だから全くいないわけではない。

だが同じ学校に友達がいないのはやばいと思う。

けど私は学校でも本ばかり読んでいる。

そう、いわゆる陰キャラである。

接続詞ばかりでこれが本なら読みにくいだろう。


「よいしょ。」


このことについて考えることをやめ、カバンから本を出し読み始めることにした。

ここからはいつも通りのルーティーンである。

本を読みながら校門をくぐり、本を読みながら靴を履き替え、本を読みながら自分の教室に入り、自分の席につき本を読む。

ちなみになぜ自分の教室と席がわかったかというと、事前に送られてくるからである。

昔は学校の掲示板的なところに張り出されていたらしいが、スムーズにするために今のになったらしい。

ここからは授業が始まるまで本を読んでいるだけ。


「はーい、じゃあ今日から一年間よろしくお願いします。」


進級して最初の学校だったので、午前中で終わった。


「新刊発売するし、本屋さん寄って帰ろ。」


学校帰りは特に友達とどこかに寄るとかはないので本屋に行くことが多い。

学校と家のちょうど真ん中くらいにある、決して大きくはないが品揃えはいい本屋さん。

そこが行きつけのお店である。

基本トメさんというおばあさんが一人で営業しているのだが小さい頃から通っているので顔も名前も覚えてくれている。

いつも私が気に入りそうな本を二、三冊用意して待っていてくれるだがこれがまたドンピシャで私に会う。


「こんにちは、トメさん。今日は始業式だったからちょっと早くなっちゃった。」


いつもトメさんはニコって笑い「いらっしゃい。」と言ってくれるのだが今日は違った。

トメさんより低い声だったけど、トメさんと同じ暖かい笑顔の男の人がいた。


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