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蘇生


 「!なんだこれは・・・私の体から、力がみなぎってくるようだ・・・」


 俺が剣を抜いた瞬間、ヨナタンの体に変化が起きる。そう、俺の能力は、「味方のパワーをプラス10000するというものだ。だとするなら、今のヨナタンのパワーは10500。さっきまではハリボテのようだった彼の筋肉も、いまでは体幹に支えられたスーパーマッスルになっているというわけだ。やっぱりバーベルは裏切らない。


 「なにをしたって無駄よ!とっとと私に・・・やられちゃいなさい!」

 「残念だったな・・・今の私はさっきまでの私とは違う!ショータ殿の能力を受けた私の力は、伝説の剣士に匹敵する!!」


 勝負は長くは続かなかった。ヨナタンとシャロ、2人の剣が交錯した数秒後には、ヨナタンの剣がシャロの体を貫いていた。パワー基準で考えるなら、10500対6000。しかもシャロの方には少なからず油断もあった。両者の差は大きかったのだ。


 「な、なんで!?なんで私が負けてるの!?相手はただの雑魚ウォリアー2体じゃなかったの?さっきまでは何のパワーも感じなかったのに!・・・!!もしかして、そっちのヤツが何かしたってこと!?」


 苦しそうな声で喚きながら、シャロがこちらの方を睨む。シャロの洞察は当たっている。長老と話してわかったことだが、俺が剣を抜く動作が、俺の能力の発動トリガーになっている。俺の能力で強化されたヨナタンが、シャロを倒したというわけだ。


 「あ、あなたたち!覚えてなさい!!暗黒将軍はそう簡単には死なないのよ!今は一旦墓地に行っても、同胞の力ですぐ蘇るわ!いつかきっと必ず、この借りは返してあげるんだからね!」


 そう叫んだシャロの体は、みるみる透けて、薄くなっていった。シャロの体からは、黒色の粒子が空へと立ち上っている。そして見る見るうちに粒子の数は増え、シャロの体は完全に消えてしまった。


 これが、倒されたモンスターが墓地に行くということだろう。俺たちは勝ったのだ


 「・・・終わったみたいだな。ありがとうヨナタン。俺一人だったらアイツにやられて俺の旅は終わっちまってた。能力は出来れば使いたくなかったけど、こういう時は仕方ないよな。・・・ところでネムリアはまだ起きないのかな?」


 俺は戦いを終えたヨナタンに話しかける。俺の能力は強すぎるらしく、これがこのカードゲーム世界の統治者に目を付けられると、俺は禁止カードに指定されてしまうかもしれない。だから能力はむやみに使えないんだが、こういう場合は仕方ない。


 「・・・パワー6000。確かに我々にとって願ってもない戦力増強だ・・・だが、本当に大丈夫なのか?私は大変なことをしてしまったのではないか?いや、でも他に方法は・・・」


 俺に話しかけられたヨナタンは、なにやら上の空でブツブツつぶやいている。表情は暗い。まだ何か問題でもあるのだろうか?


 そう思っていると、俺の目の前を黒い粒子が上から下に通り抜けた。粒子は、さっきシャロが倒れた場所に集まっている。さっきはそこから空へ上がった粒子が、今度はその巻き戻しのように、空から一点に集まっているのだ。そうして集まった粒子は段々とシャロの形を作っていき、数秒後、そこには復活したシャロがいた。


 「・・・ふえ?私は変なウォリアー2人に倒されたはず・・・?」


 し、シャロが復活した!?どういうことだ。俺たちはもう一回闘わなければいけないのか。俺の能力は果たして連続使用できるのか。でも、あの口ぶりからして、シャロが自力で復活したってわけではなさそうだが・・・


 俺の困惑を察したのか、ヨナタンが説明を始めた。声の大きさから考えると、どうやらシャロにも自分の説明を聞かせたいようだ。


 「・・・ショータ殿、よく聞いてくれ。そっちの暗黒将軍とやらもだ。私、『救いの剣士ヨナタン』の能力は、『倒した相手を味方として自分の場に復活させる』というものだ。私自身のパワーが500と低すぎるため、この能力が使われることはないと思って黙っていたが・・・今回はショータ殿の能力の助けもあって、貴様を倒してしまった。要は、今復活した貴様は我々の味方として復活したのだ。これからは旅の道連れになってもらうぞ。」


「「ええええええええ!?」」


 俺とシャロの声が重なる。し、シャロが味方になる!?シャロと一緒に旅ができる!?それはいいことだが、向こうはそれで納得するのか?仮にも暗黒将軍ともあろうものが、俺たちと旅をしていていいのか?


 「い、嫌に決まってるでしょう!なんで私を倒した奴らと旅をしなきゃならないの!せっかく復活したんだから、今ここでさっきのお返しをしてやるわ!」


 やっぱり納得がいかないらしく、シャロは顔を真っ赤にして怒っている。可愛い。


 「残念だが、それはできない。一度味方として復活した以上、我々を襲うことはできないのだ。同士討ちは認められていないからな。・・・ショータ殿、私も暗黒将軍を味方に引き入れるのは私も何かと不安だが、私が倒してしまった以上、これは必然だ。それにパワー6000の味方が加わるのは心強くもある。これからは4人での旅ということになる。」


 た、確かに俺の元いた世界でのカードゲーム、「ファイトマスターズ」では味方のモンスター同士を戦わせることはルール違反だ。この世界が「ファイトマスターズ」のルールに基づいた世界だとしたら、同士討ちは不可能ということになる。


 「ぐぐぐぐぐ・・・わ、私はこんなの絶対認めないわ!いつかきっと必ずチャンスを見つけて、あなたたちに復讐してやるんだからね!!」


 そう喚きながらもシャロは立ち去ろうとはしない。味方であることを受け入れたのだろうか。


 「・・・ムニャムニャ、おはようございます~ヨナタン、ショータさん~」


 そんなこんなしているうちに、2ターン経ったらしくネムリアが起きてきた。ともあれ、ヨナタンの能力によって味方が増えたということだ。しかもその味方は俺の密かな憧れだったあのシャロだ。これは素直に喜んでいい・・・のか?



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