再出発
「うわあああああッッ」
目を覚ますと見慣れたシャンデリアがあった。
寝室のドアが勢いよく開かれ、ダルが駆け寄ってくる。
「トール、どこに行ってたのー?大丈夫ー?」
「地獄!地獄行ってた!やばかった!俺死んだよ!」
ガチ泣きしながら要領を得ない説明をする俺。根気強く聞いてくれるダルさん。
「それで確かにあの時に腹も貫かれて右腕も……」
「うんうん。でもちゃんとついてるよー。大丈夫だよー。」
ぽんぽん、と身体を優しく叩きながら確認してくれる。お腹から右腕に、そして右手に触れて気付いてしまった。
「篭手、ないねー…。」
「ネッサが……どうしよう」
「あれはただの通信手段だからネッサは大丈夫ー。また同じ篭手を使えば話せるよー。」
「そうなのか、地上に行けば売ってるのかな?」
「けっこうレアなんだよねー…。一応、今の魔王が持ってるはずだけど。」
魔王って言った?
「俺レベル0なんだけど…魔王倒さなきゃいけないの?」
「まぁーうん。あるいみ。一緒にやっつけよー。」
こうして俺とダルの、魔王をやっつける旅が始まったのであった。
「あー。エレベーター危険っぽいから、階段だねー…。」
まずは地上を目指して。