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けっかはっぴょうどうでもいい

 

 ──魔王ピック新聞──

 準決勝戦、各ブロック代表による2試合をダイジェストでお送りします!

挿絵(By みてみん)


 Aブロック代表 レベル2トオル選手 対 Bブロック代表 不死王ダルフ選手。 ダルフ選手が十八番である大魔法HHGでトオル選手を追い詰めていきます。しかしトオル選手が特大の火の玉により反撃。氷の壁で体制を整えようとするダルフ選手ですが、トオル選手の魔剣が獣化したのを見て退場してしまいました。トオル選手の勝利、決勝戦進出となります。


 Cブロック代表 狼眼流ネルソン選手 対 Dブロック代表 西の剣聖レオン選手。ネルソン選手に猛然と襲いかかるレオン選手。大剣の攻撃を隻腕では受けきれずに追い詰められたように見えたネルソン選手ですが、レオン選手の攻撃にあわせて剣を投擲しレオン選手に刺さります。しかしレオン選手は剣が刺さったまま猛攻を続けネルソン選手はダウン。レオン選手の勝利、決勝戦進出となります。


 明日、ついに本大会の優勝者が決まります! 魔法剣士トオルと剣聖レオン、勝つのはどっちだ! 魔王様どうぞ! 「よもやダルが負けるとはな。トオルは戦いの中で成長するタイプと見た。レオンも戦いの中でスタイルを変える柔軟な戦士だ。似た者同士の頂上決戦という事になる、出し惜しみは無しだぞ。ふはははは!」

 ────



 開いたはいいが新聞の中身が全然頭に入ってこない。


「トールに負けちゃったー。」


 言葉とは裏腹にめちゃくちゃ嬉しそうなダルは今、俺と新聞の間にいた。

 黒豚が入る分にはちょうどいいスペースなのだが、ダルが入るとなると密着もいいところである。


「だ、ダルサン 新聞 集中 デキナイ」


 カタコトになる俺。ダルさんが一晩でめちゃくちゃ積極的になってしまったのだ。


「主、かなり大きくなってましたから」

「かっこよかったー。ヒーローだぞー。」


 ダルの髪が頬をくすぐる。いい匂いだ。もうそろそろ、色々考えられなくなりそう。暴走吸血鬼娘を止めねば。


「だ、ダル」

「なんだいー。旦那様ー。」


 顔だけをこちらに向けて微笑む。こんな表情出来たのか。


 心臓が飛び出そうなくらい高鳴ってしまう。


「ふふふふ。どきどき。」


 密着しているから俺のドキドキは当然ダルに伝わっているわけで。


 目がとろんとしている。


 ダルの目に映っている俺の目も同じように。


 もう完全に主導権を握られていた。



「ゆーらゆーら。」



 ダルが嬉しそうに目をあわせたまま、体を揺らす。俺も揺れる。


 右にゆらーり。左にゆらーり。なんだかものすごく楽しくなってくる。


 密着している胸やお腹が熱を帯びていく。



「楽しいねー。」

「あ、あへあへ」



 そろそろ俺の父性と母性とあと色んな性がやばい。助けてムラ様。

 ちらっと視界にうつったムラ様はマンガ肉を一生懸命食べていた。



 ゆらゆら揺れる俺とダル。



 頭がぐるぐるとシェイクされる。



 ああー楽しいなー。



 幸福感で頭の中がいっぱいになる。



 ダルとくっついたところから幸福が流れ込み何度も全身に甘い痺れを残していく。




「ぼんっ」

「ぼんっ。」




 いつまでも揺れる俺たちの横で黒豚がマンガ肉の骨を舐めていた。

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