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結表アンド魔法屋バイト

 

 ──魔王ピック新聞──

 準々決勝各ブロック計4試合の結果発表です!

 挿絵(By みてみん)

 Aブロック 魔法爺ディンク選手 対 レベル2トオル選手。呪いで牛になり、弱体化されたと思われていたディンク選手ですが、目にも留まらぬ速さで突進しトオル選手を追い詰めます。何度目かの突進でトオル選手の横を通り抜けたあと、ディンク選手は倒れてしまいました。なんとトオル選手がすれ違いざまに斬りつけたとの事。達人! トオル選手が勝利し、Aブロックの代表となりました。


 Bブロック 龍王丸ウジザネ選手 対 不死王ダルフ選手。ダルフ選手、開幕から怒涛の魔法攻撃! 炎の雨、雷の槍、氷の波を同時に展開し圧倒。ウジザネ選手は何も出来ないまま終わってしまいました。 前試合で怒らせてしまったのかもしれません。 ダルフ選手が勝利し、Bブロックの代表となりました。


 Cブロック 狼眼流ネルソン選手 対 青の魔術師のくぽん選手。氷の嵐を展開し距離を詰めさせないのくぽん選手。ネルソン選手、なんと剣をのくぽん選手へ投擲します! 身を護るために氷の嵐を解除しバリアを張るのくぽん選手ですが、その一瞬で距離を詰められます。クイックキャストをする暇もなく、脇差を喉仏に突き付けられ降参しました。ネルソン選手が勝利し、Cブロックの代表となりました。


 Dブロック ゴールデンG選手 対 西の剣聖レオン選手。素早い動きでレオン選手を翻弄するゴールデンG選手。追い付く事は不可能だと悟ったのか、レオン選手は剣を置き目を閉じて正座をしてしまいます。降参かと思われましたが、突進にあわせて大剣を持ち上げゴールデンG選手をひっくり返します。裏返った姿を見て観客席は阿鼻叫喚となります。裏返ったまま動けなくなったゴールデンG選手をめった斬りにし、レオン選手が勝利。Dブロックの代表となりました。


 では魔王様どうぞ。「ふはははは! 今大会一番の大穴、レベルたったの2のトオルがここまで来るとはな。次に最有力候補のダルフと当たるが一体どんな戦いになるのか我は楽しみで仕方がないぞ! ネルソンやレオンも魔法こそ使わないが伝説レベルの剣術スキル持ちだ。もう誰が優勝してもおかしくないな? 負けてしまった者たちも観客として最後まで楽しんでいってほしい! ではな」

 ────


「次勝負だぞートールー。」

「うーん」


 最初は何も考えずに準決勝で会おうとか言ってたけど、ダルとまともに戦えるわけがなかった。ディンク戦の時はちょっとパワーアップしてたから調子に乗ってたけど、やっぱ無理だと思う。


「トールにならいっぱい斬られてもいい。」

「破滅的ですね」

「自然回復あるしねー。」

「不戦勝じゃダメなんですか?」

「魔王が悲しむ。あと成長を見たい。手抜いたら怒るよー。」


 俺を置いて会話が進んでいく。どうしても戦わなくちゃいけないらしい。

 どうしよう、対策を考えないと手も足も出ないぞ。勝てなくても一泡吹かせるくらいはしてやりたい。

 とりあえずここに居ても仕方がないな。


「ごめん、ちょっと外出てくる…」

「ちなみにジルわんはこの森にはいないからねー。」


 背後から希望の芽を摘む声が聞こえた。




 ──10階魔法屋──


 エルフのお姉さんたちが忙しそうにパンを並べている。


「いらっしゃいませー!」

「あの、お金はないんですけど、友人が…」


 全てを説明する前に割烹着を手渡された。


「タダじゃあげられません。ちょっと手伝ってもらいますよ」


 お姉さんはウィンクをして笑うと、俺を更衣室まで案内してくれた。よくある事なんだろうか。


 厨房はとても広く、部屋の中央に大きな丸い作業テーブルがあり、割烹着姿のエルフのお姉さんたちがそこに向かいパンをこねている。


「火の玉3、HHG1、あとメロンチャージして」

「サンキュー」

「ちょっと塩と砂糖近くに置かないでって言ったでしょー!」


 全然理解できない用語と悲鳴が飛び交っている。ひとつ理解できたのは、ここが戦場であるということ。

 呆然としていると、小柄なお姉さんがこちらへ歩いてきた。


「ちょっと君、新人? なんでもいいや小麦粉とってきて小麦粉! ハリー!」

「は、はい! サンキュー!」


 よしきた、小麦粉取ってくるくらいお茶の子さいさいだ。でも何処にあるんだろう。お姉さんもういなくなってるし。

 ぐるりと厨房内をまわっているうちに、大きな字で倉庫と書かれたドアを発見したので入ってみる。

 中はかなり寒く、薄暗い。照明器具はないようだった。まあ火気厳禁だよな普通に考えて。

 たくさん並んでいる棚を片っ端から覗いてみる。薄力粉、強力粉、中心粉、高技粉、弱体粉、小麦粉。

 あったあった。袋の小麦粉は重すぎたので小瓶をいくつかポケットに入れる。


「あの持ってきました」

「遅いじゃない! はい次これ、こねて!」


 うう、頑張って見つけてきたのに怒られた。つらい。

 ぺったんぺったん。


「もっと腰入れなさい! そんなんじゃあの娘に勝てないわよ」

「知ってたんですか」

「1回戦から見てるわよ」

「あ、ありがとうございます」

「ふん、いいから手を動かしなさいな!」


 もしかしたら応援してくれてるのかな。何だか胸の奥が熱くなるような気がした。

 頑張らねば!


 ぺったんぺったん。



 ぺったんぺったん。



 ぺったんぺったん。




 そして終業時間。


「お疲れ様でした! 大変だったでしょう?あなたはスジがいいからいつでも歓迎ですって」

「ありがとうお姉さん!」


 バイト代の500Sと初級魔法パンの*照明*を貰う。最初から自分で作ったので中々感慨深い。


「あ、あとこれ包んでおけって。気に入られたわねぇ」


 *火の玉*だって…?これめちゃくちゃ高かったような。本当にいたんだね、ツンデレエルフ。

 俺はお姉さんにお辞儀をすると、エレベーターで自室に戻った。


 その日の夕飯はメロンパン。ダルのいない部屋でボソボソと食べるメロンパンはちょっぴり切なかった。

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