初めてのフレンド
新キャラ登場です
この街は真ん中に広場を置き、そこから東西南北に伸びる広い道を元に四つの区画に分けられている。
まず東に商業区、いわゆるショップエリアになっていて街の住民、いわゆるNPCさんのお店が立ち並んでいる。
それとプレイヤーでも空き家を購入するか借りるかすればお店を開けるらしい、自分はよく知らないけど生産職の人のお店も幾つかあるらしい。
次に西、西はいわゆる居住区でポツポツと自営店は点在するものも基本的には住民の家が纏められてて、この街の人達はだいたいここに住んでる、もちろん家の購入等もできるのでお金に余裕があれば程々の家でも買おうかなとか思ってる。
北が工業区、鍛冶場や生産系の工場や施設が立ち並んでいてプレイヤーも利用料を払い住民達の邪魔をしない事を誓えば空きスペースを貸して貰えるらしい、余りに悪質な人はシステムで出禁にされるとかなんとか。
ちなみに生産ガチ勢の人達は既に家かお店を借りてmy工房を持ってるらしい、ガチ勢パない。
そして南、南は観光区って言ってレストランや見た目装備、アクセサリーのお店、更には従魔の触れ合い広場にいたるまである他の街の住民向けの区画、という設定の娯楽区画だったりする。
特に触れ合い広場に入り浸るプレイヤーが多過ぎて遂には入場時間を短くして制限を付けるなんて事態も起きたらしい。
最後に真ん中の広場、円形の広場の中心に巨大な時計塔があって時間毎にリンゴーンって大きなベルがなるからいわゆる待ち合わせスポット?みたいになってるね。
その周りには交流掲示板やクエスト掲示板とかがあって住民やプレイヤー達が沢山いてとっても賑やか。
ちなみにお気に入りのベンチもこの広場にあったりする。
歩き出してからしばらくして着いたのは東の商業区。
「初めて来たけどなんか…、ごちゃ混ぜ感が……」
軽く見回しただけでも中華だったりギリシャっぽいのだったりが極普通のお店の合間合間にポツポツと見えた、おそらくはアレ等がプレイヤーのお店なんだと当たりを付けて。
「ちょっと外から失礼します」
中華風のお店の中を窓から覗いてみるとパッと見ただけでも青龍刀にヌンチャクといかにもなラインナップがありお客さんも何人かいた。
「おぉ〜!中華っぽい〜」
その一言だけ残して次のお店へ、そしてまた次のお店へとあっちへふらふらこっちへふらふらと見て回る。
「次はここ〜…と」
そうして次に立ち寄ったお店は一見して木造家屋と言った感じで、玄関先には家紋?っぽいのが描かれた旗が揺れている。
「……お邪魔しま〜す」
入ってすぐに目に入ったのは見上げる程の大きさの太刀、いったいだれがこんな大きな物を使うのかと思わずにはいられない。
そしてその太刀のすぐ側にとある物を見つけてしまった。
「さ……逆○刀…、これはあれか、飛○御剣流をやれと言っているのか、うん…まぁやらないけども……」
そっと逆○刀を戻して他の物も見てみる。
(鎖鎌、手裏剣に苦無、うわ焙烙玉まであるし…、ここは忍者ショップか何かなの?)
「何か気に入った物はあるかい?」
「…っ!?」
突然後ろから声がしてビクッと身体が跳ねる。
恐る恐る振り返ると目元以外黒ずくめの
「ふしん…!!」
「違う違う!忍者、忍者だって!?」
忍者がいた。
ーーーーーー
「えー、落ち着いた所で改めてはじめまして、ショップ『忍者屋敷』の店長、『服部』だ。よろしくお嬢ちゃん」
「あっ、はいはじめまして、冬歌です。こっちの子が従魔の月見です。あと一応お嬢ちゃんでは無いです」
「お…おぅ?、そうか、間違えてすまなかった」
「いえ、大丈夫です、よ?こちらこそ不審者と間違えてしまい申し訳ありませんでした」
「じゃあ、まぁこれでおあいこという事で。何か気に入った物があれば言ってくれ、驚かせた礼だ、安くしとくよ」
安くするという言葉に私の目が光る。
「その言葉に二言はありませんね!」
「お!?おう、忍者に二言は無いぞ?!」
それから店内を物色していく。
(さて……、安くするについ釣られてしまったけどどうしよう?うんまぁ安くしてくれるって言ったし元より武器を買いにこっちまで来たわけですし!
買うとして……、剣は無さそうだから刀で、小回りの効く小太刀くらいかな?あとは……)
「あの、すみません…、遠距離武器ってありますか?」
(自分も月見も現状近接攻撃しか出来ないからね、空飛ぶ敵が出たら対応出来ないかもしれないし持ってて損はしないよね)
「遠距離武器か、そうだな、とりあえずこんなのはどうだ?」
そう言って服部が出して来たのは長弓、苦無、手裏剣、そして謎の筒。
「他は分かりますがこの筒はいったい?」
「吹き矢だ」
「吹き矢……」
「すまん冗談だ、忘れてくれ」
そう言って吹き矢だけがしまわれた。
「あっ、はい。えとじゃあ弓でなるべく射程の長いものはありますか?あとは小太刀の…、これをお願いします」
「そいつでいいのか?俺ならもっと火力の上がるヤツを選ぶが…」
「あ、火力なら現状充分過ぎる位なので大丈夫です。幾ら火力があっても当たらなければ意味ありませんから」
そう言って私が選んだのは
▽小太刀『桜』 制作者『服部』
長さは木の剣と同じくらいの約50cmくらい?で付与されてるのがSTR+5、DEX+18の命中重視
薄ピンクの刀身という現実じゃ無理じゃないかなって思うような小太刀。
「ほう、それは羨ましい、失礼じゃなければSTRの数値を聞いてもいいかな?」
「はい、えーと…、今で50ありますね」
「それはすごいな、相当いい武器を持ってると見える」
「あっ、いえ、防具の+値だけです。武器が壊れたので今回買いに来た次第でして」
「なに…?もう1回言ってくれ」
「武器が壊れたので買いに……」
「その前」
「防具の+値だけです、で良いですか?」
「そうそれ、防具の+値だけで50?失礼レベルは?」
「2になりました」
「つまりステータスポイントをSTRに全振りしても+40も……」
それから服部さんが何やらブツブツ呟き始めて話しかけづらくなっちゃった。
(えーと、どうしよう?待ってた方が良いかな?おーい月見さんや、起きてくださいな、構ってくださいな)
ブツブツ呟く服部さんから少し離れて備え付けの椅子に座って月見を撫でながら待つことにした。
(あー、そういえばステータスポイント振ってなかったね。今のうちにしとこうかな?月見〜、起きて~。)
月見を揺すって起こすとあくびを一つついて月見がもぞもぞと起き上がってきた。
「ん、月見起きたね、じゃあステータスポイントの振り分けしよっか」
1度服部さんをチラ見して、まだまだかかりそうなのでステータス画面を開く。
「まずは月見からね、と言ってもどれに振るかは決めてあるんだけどね。それはそれとして何か技増えてるかなぁ?」
月見のスキル一覧を開いて確認すると新しいスキルが一つ追加されていた。
▽スキル
『とりもち』
とりもちを放ち、命中した対象に10秒間AGI半減と行動阻害を付与する
「餅うさぎだけにとりもちって?運営ぇ…。とりあえずどんな感じかは使ってみてのお楽しみかな?
それじゃ月見のステータスポイント振ろっか」
『月見』Lv2
HP15/15
MP10/10
STR 6 物理攻撃力
DEX 6 命中率、クリティカル率
VIT 3体力、物理防御力
AGI 12→17 素早さ、回避力
INT 2 MP、魔法攻撃力
MND 5 魔法防御力、状態異常耐性
スキル
『たいあたり』『とりもち』
「これでよーし、さてお次は…」
そこで肩を叩かれ、そちらを振り向き見上げる。
「すまない待たせたな、取り込み中だったか?」
「あ、いえ、大丈夫です。服部さんはもういいんですか?」
「あぁ大丈夫だ、早速で悪いがちょっとこれを握ってくれないか?」
「えーと…、これは?」
渡されたのは灰色のブロック状のなにか。
「手の握りを確認したいからな」
「何のために、ですか?」
「君の弓を作る為だ」
「はい?」
「長距離での高火力射撃、これに燃えない者はいないだろ!って事でお望みの長距離用の弓を作ってやる」
「いや…あの……」
「なんだ?金か?なら心配するな、別に吹っ掛けるつもりは無い、そうだな、その刀と同じ値段で良いぞ?」
「いや…ですから…」
「つべこべ言わずに型をつける、よーし付けたな、それじゃあ出来たら連絡するからフレンド申請受けといてくれ、刀も前貸しだ、何かあればすぐに言ってくれ!じゃ!」
そう言って服部さんは店の奥に引っ込んでしまった…。
▽『服部』からフレンド申請が届きました、受理しますか?
YES/No
「あっ、えーと、YESっと」
▽『服部』とフレンドになりました
「月見〜…、これどうしたらいいの〜?」
「もきゅ?」
「だよねー」
首を傾げる月見と前貸しと言われて渡された刀。
「とりあえず帰ろっか……、すっごい疲れたよ…」
それから店を出て広場に戻り、その日はもうログアウトする事にした。
ここまで読んでいただきありがとうございます
新キャラ登場しました
コミュ障主人公はあたふたです
しかし対人スキルはポイント降っても熟練度上がりません残念
50cm位なら小太刀ですよね?わかんないので小太刀で押し通します
まだまだネタが尽きない限りは更新していきます
それではここまで読んでいただきありがとうございました!
レベルアップの補足
▽SP
レベルアップ毎に5ポイント貰え、それを割り振る事でステータスを伸ばすことができる
再分配は不可能
▽SP
レベルアップ毎に2ポイント貰え、それを割り振る事で新たなスキルの習得、熟練度の上昇が行える
再分配は不可能