プロローグ
ファンタジー要素は殆どありません。
私は、気付いた時から人間不信の塊だったのかもしれない。
人と話す事が嫌いではなかったが、只々面倒くさかった。
まさに、心ここにあらず。
けれど、普通なら一人で生きていこうなど様々なことを模索するが、私の場合は違っていた。
私は、ただ自らが弱いことをはっきりと知っていた。
それは、幼い時からなのだろう。
誰かに頼らなければ人は生きていけないと言う社会の精神をもう理解していたのかもしれない。
それとも、生まれつき理解しろと叩き込まれたのかも知れない。
そんな社会の要求に対応している自分を知った時、私は心底、自分ではなく社会と周りの人間が怖くなった。
恐ろしい、化け物のように思えた。
まだ、幽霊の方が優しいとさえ思った事がある。
けれどそんな私も重度の怖がりで、まさにビビリ。心霊現象や怪奇現象、また心霊話などは特に嫌いだった。
だが、幽霊は見た事がある。本来ならば、叫び声が出ないほどビビるはずだが、その時ばかりはただいるな、としか思わなかった。
しかし、私は非現実的なことが嫌いだ。
けれど、そう言う割には小説や漫画はファンタジーしか読まない。逆に溢れんばかりの恋愛小説や漫画は大嫌いだった。
確かに、憧れた時代もあったが今では引いてしまう自分がいる。
けれど、そう言う人たちの姿を見るのは嫌いじゃない。
『リア充爆発しろ』と言う言葉があるが、そんな事を思ったことは一度もない。
大切なのは、その幸せをどう続けていくかなのだから。
人と出会うと言うことは、別れがあると言うこと。それが遅かれ早かれ時を決めてしまうのは自分が原因ということを誰も理解しない。
喜びもいつかは冷めてしまうように。
燃え上がった炎が枯れるように。
いつかはここに無となって存在するのだ。
私はよく意味もわからないことを想像する。
世界が何百年経ったとして、世界に何が残っているのか気になるのだ。
幼い頃、夢に思った事があった。
いつか、この世界に私の知らない世界に名前を刻みたい。私の名前が、私の描いた物語が、誰かの記憶のその片隅に残っていればいいと思った。
これは、無能な『私』が女神に出会い、そして『僕』として道を歩んでいく物語。
いつか思い浮かんだ事がある。
もし、自分自身の体験談を書くときはこの題名がいいと考えている物があった。
だから、今日ここに書かせてもらうことにする。
題名は……【夢で終わってしまった私の人生へ。】だ。
面白みもなんともないくだらない題名だが、私にはしっくりきた。
だが、この題名は適当に考えて決めたわけではない。
ただそれは、私の生き方に反映しているだけのことで、まったく見たくもない物語だが、人が楽しんでアルバムを作るように、書く事が私のアルバム制作のようなものなのだ。
必ず人は、思い出を忘れてしまう。
思い出がちっぽけな写真で終わることは誰しもが分かっていることだ。けれど、私がここに書くものはそんな小さな理由ではない。
単に、忘れたくないからだ。
それほどまでに良く、憎たらしい思い出。
だが、心の中では消えて欲しいとさえ思う。だが、やはり躊躇ってしまう。
だからこそ、彼女との思い出だけは忘れたくないのだ。
この物語を書こうとした動機。それは、忘れられないきっかけで、それが彼女と出会った真の理由。
彼女を真の彼女とたらしめたのは、彼女自身の言葉。
それこそが、女神の言葉なのだ。
これは、一人の人へ送る小説です。
この小説は彼女への感謝の気持ちと主人公の心情を僕の心に重ねて書いています。
ちなみにこの小説はちょっとした実話です。
もしこれを読まれた方は、誰かへの思いを主人公の背中や女神の言葉に重ねて見ていただければと思います。