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01:プロローグ
---私はヴィエ・マルシェ広場の柱に縛り付けられていた。
今迄の戦いを思い返す。
オルレアン、ランス、ラ・シャリテ、コンピエーニュ……
勝った戦いもあれば負けた戦いもあった。
ただ国を救いたい---
---ただそれだけの為に神の声を信じて戦い続けた。
【異端】
今日、私は異端の魔女として火刑に処される。
私は国を想い、神を信じて戦い続けてきた。
それは異端なのだろうか?
私は神に背く過ちを犯したのだろうか?
幾ら自問自答しようが答えは出ない。
そして今日で私も火に焼かれ終わってしまう。
空を見上げると1羽の白い鳩が飛んで行く姿が目に映る。
その白い鳩は建物の上に留まり、広場を見下ろす。
それが私を見ている様に感じ、視線が合った気がした。
何故か不思議と私に安堵をもたらした。
そして安堵した私を見計らったかの様に私の周りに火が放たれた。
熱い……
苦しい……
火が私の服を、肌を、髪を---
---全てを燃やしていく。
私の十九年の生に幕が降ろされた。