表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

僕は主人公になれない。

 主人公が何もできない話って新しいかもと思ったのですが、……うん、難しいです。

 本当に何もできないし、活躍が書けない。。

 コメディーなら行けるかとも思ったのですが、話を進めようとすると、コメディー要素が入れ難い。

 迷走に迷走を重ね、何とか書き上げたのですが、……これはどうなのでしょう?

 ……客観的に見れない。

 感想いただけると有難いです。

 僕はきっと、主人公じゃないと思う。

 主人公とはどんな存在だろうか?

 僕の周りには、本当に凄い人が多いので、そんな事を考えた事がある。

 この世界の人、全ての人がオンリーワンであり、皆が皆、一人一人が主人公なんだと誰かが言った。

 僕はそれを間違いだなんて、否定したいわけではないけれども、僕自身の考えは、残念ながら違う。確かに人は、ただ一人のかけがえのない存在かもしれない。十人十色。一人だって同じ存在はいないだろう。

 でも、だからと言って、全ての人が主人公だなんて思わない。

 確かに、自分の人生として見れば、誰だって主人公とは言えるのかもしれない。でも、主観がどうしても自分自身になってしまうから、自分が主人公だと錯覚しているだけではないかと、僕はすれた考えをしてしまう。

 だってもしも、自分の人生と周囲の人生を一緒くたに、漫画やドラマのように、第三者として客観的に見た際、果たして自分が主人公だと思えるだろうか?

 僕には無理だ。

 では、主人公とは、どんな存在か。

 そう問われれば、僕はこう答える。

 主人公とは、その物語の核の存在を指すのではないだろうかと。

 例えば冒険譚ならば、必ず冒険をしているものの中心人物だと思う。

 ミステリならば、その事件を起こした犯人か、事件を解決する者のどちらかだ。

 恋愛ものならば、恋愛をしている者だろう。……まぁ、恋愛だけなら脇役でもしているので、ただそれだけで主人公とは言い辛いが。

 つまり、主観だからと言って主人公だとも限らない。

 この前、初めてシャーロックホームズを読んでみた。

 あれは、ワトソンの視点で描かれた話だった。

 何の知識も持っていなかった僕はてっきり、ホームズを中心とした三人称だと今まで勝手に思っていたので、素直に驚きだった。……まぁ、僕の感想なんてどうでも良いのだけれど、シャーロックホームズの主観はワトソンだったのだ。

 でも、あくまで描きたいのはシャーロックホームズという人物であり、主人公は誰かと問われれば、僕はやっぱりシャーロックホームズだと思う。

 結局ワトソンは、ただの語り部に過ぎない。彼はホームズの凄さを読者に伝える為の、読者の目線に立った存在なのだろう。つまり、読者の目線という事だけで、それは決して主人公ではない。引き立て役だ。つまり、主観だからといって、その人が主人公だという訳ではないと僕は思うのだ。

 まぁ、僕の意見なんてものは、数ある意見の中の一つでしかないので、絶対的に正しいなんて事は言わない。

 ワトソンが主人公だと言う人もいるだろう。

 先程述べた、全ての人がオンリーワンで主人公でも、十分に良いと思う。

 ただ、僕はそうは思えないというだけの話だ。

 そして、そう考えた時、どうしても思う。

 僕はただの脇役。決して、主人公になれない、と。


 そんなことを友人の円城円に言ったら、彼女は馬鹿にするように笑った。

「ニュフフ。佐次殿は馬鹿なのだよ。つまり、愚かなのだよ。マドちゃんから言わせれば、シャーロックホームズの主人公はシャーロックとワトソン君の二人だと思うよ。……まぁ、マドちゃんは、シャーロックを読んだことないけれど」

「読んだことないのかよ!? 自信満々に言いながら、読んだことないって、どこから来たの、その自信は!?」

 思わず僕がツッコミを入れると、円は不敵に笑う。

「マドちゃんは天才だから、いつでも自信満々なのだよ。つまり、自信しかないという事なのだよ。それに、主人公は一人に限定する必要はないのさ。アニメやドラマなんかで、ダブル主人公の話だってないわけじゃないしね。むしろ主人公は一人だと思うこと自体が愚かだし、心が狭いよ、佐次殿は」

「……いや、……まぁ、心が狭いのは自覚しているけど」

「ニュフフ。そうかい? でも、マドちゃんとしては、佐次殿も十分に主人公の資格を持っていると思うのだよ」

「そうかな? 僕は円みたいに、何か特別な力があるわけじゃないよ」

 僕は知っている。自分の周りに居る特別な者たちを。そもそも、自分は主人公じゃないなって思ったのは、そいつらの性だし。

 そして、目の前に居る円にしても、特別な力を持つ側の人間だ。その中で、特別な何かを持っているわけでもない自分が、主人公であるはずがないと思うのだ。あまりに主人公キャラとして、インパクトが弱すぎだろう。別に僕には、隠れた素性も力もあるわけではないのだから。

 けれど、その考えは円には通じないようだ。

「ニュフフ、そうだね。確かに佐次殿は、特別な力はないし特別な出自でもない。少し特別な環境だけれど、それは周囲が特別だからなのだよ。……でも、その環境の中で、特別な力を持っていないからこそ、佐次殿は特別なのさ。……この特別な力を持った連中の中で、特別じゃない。むしろそれは、とても特別だと思わないかい? つまりこれは、菅原佐次が主人公の物語なのだよ」

 円は確信するようにそう言うのだけれど、僕は一ミリも、信じることはできなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ