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八話
瞬間、私は手をとめた。
遺書、なんだか長いような気がする……。
やっぱり死ぬのが怖いのかな。
もしかして、この世界に未練があるとか。
遺書を書き終えたら自殺をしないといけないから、わざとだらだら長く書いているのかな……。
首をくるりとまわし、窓に視線を向けた。もう外は暗くなっている。
最後の夜が私を待っている、そんな気がした。
もう、終わらせようかな……。
――最後になりますが、お父さん、お母さん、本当にごめんなさい。
こんな娘でごめんなさい。
自分勝手で、わがままで、たくさん迷惑をかけて、本当に本当にごめんなさい。
バカな娘を許してください。
ごめんなさい。ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい――
平成二十九年 十二月八日 中村香奈