三話
そんな雅彦となぜ私は交際をしているのかというと、答えは簡単で、寂しいからだ。
最近よくニュースで見聞きする「殺すのは誰でもよかった」というセリフと同じような理屈である。
私は孤独だったのだ。
この乾いた心を濡らしてくれる相手であれば、正直誰だってよかった。
本音を言えば、外見も内面も含め本当に好きな男性と結ばれ一緒になりたいと心から思っている。
が、しかし、そんな理想の王子様を待っていたら、探し続けていたら、一体いつになるかわからないし、そんなに長い間ひとりでいたら、私はきっと寂しくて寂しくて死んでしまうことでしょう。
私はとても弱い人間なのだ。
精神的に未熟で、未成熟で、ブサイクで、なんの取柄もなくて、だから「思い通りにいかないなあ」と日々思いながらも、こうして雅彦との不毛な同棲生活を続けている。
あえて不毛という言葉を使った理由は、雅彦とは将来結婚する気もないし、はじめから子どもをつくる気もないからだ。
それでもひとりでいるよりはマシだから、ひとりは辛いから、ひとりは嫌だから、雅彦が買ったこのマンションで一緒に生活している。