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悪夢の体育祭  作者: 3442


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体育祭当日

ハーメルンに投稿しているものの移植です。

5月も終わりに近づいたある日。

ここは、ある地方にある男子高。

明日は、同じ市内にある女子高との合同体育祭が、行われる日。

お互いの交流を目的に、開催場所を交替で、毎年行われている。

今年の体育祭は、男子高で行われる為、今は、明日の準備で、人が忙しなく動いている。

明日の体育祭の模様を今、話題のドローンによる空撮で、撮影されることになっている。

しかし、この事が、後にこの学校の運命を変えることになるとは、この時、誰も知るよしもなかった。


場所は変わり、女子高の化学準備室。

化学の40代の女性教諭が、ある薬を完成させていた。

「明日の体育祭の時に、撮影用のドローンにつけて、この薬を散布して、どうなるか、楽しみだわ」と40代の女性教諭が言った。

その時、部屋の扉をノックする音がした。

「どうぞ」と40代の女性教諭が言った。

ガチャッと扉の開く音がして、「失礼します」と言って、20代の女性教諭が入って来た。

「先生。 明日の撮影用のドローンをお持ちしました」と20代の女性教諭が言った。

「ありがとう」と40代の女性教諭が言った。

「クラス対抗混合リレーで、散布します」と20代の女性教諭が言った。

「散布するタイミングは?」と40代の女性教諭が訊いた。

「スタート直後に第二走者に、薬を散布し、順番待ちをしている生徒の上にも散布しようと思っています」と20代の女性教諭が言った。

「わかったわ。明日が楽しみね。準備に取りかかるわよ」と不適な笑みを浮かべる40代の女性教諭。

「はい」と頷く20代の女性教諭だった。


合同体育祭開催当日。

20代の女性教諭宅。

合同体育祭を行う男子高に通う高3の弟がいるが、彼は、風邪をこじらせ、休む事になった。

「うちの学校との高校生活最後の体育祭に参加できなくて残念ね」と20代の女性教諭が皮肉っぽく言った。

「俺だって参加したいよ。39度の熱があるんだから仕方ないだろ」と弟が言った。

「一日休めば、良くなると思うから、薬飲んで、おとなしく寝てなさい」と20代の女性教諭が言った。

「わかってるよ。そろそろ行かないと不味いんじゃないか?」と弟が言った。

「もう、そんな時間?いってくるね」と20代の女性教諭が言って玄関へと向かった。

「いってらっしゃい」と弟が言った。


時は流れ、体育祭は、クライマックスのクラス対抗混合リレーの時間になった。

クラスの数は、両校とも6クラスずつ。

全員参加型のクラス対抗である。

混合リレーは、学年毎に行われ、一年から順番に行われる。

奇数走者を女子生徒が、偶数走者を男子生徒が走ることになっている。

男女ともにトラック半周ずつ走る。

体育祭実行委員の男子校の先生に同じく女子高の先生の20代の女性教諭が、「今、撮影に使っているドローンのバッテリーが、切れそうなので、新しいドローンに交換します」と言った。

「わかりました」と実行委員の男性教諭が言った。

「新しいドローンを持ってきてください」と20代の女性教諭が、40代の女性教諭に言った。

「わかりました」と40代の女性教諭が、ドローンを取りに行った。


「これより、最終種目、クラス対抗混合リレーを行いますので、一年生は、準備をしてください」とアナウンス担当の女性教諭が言った。

一年生は、それぞれの位置についた。

第一走者の女子生徒と第二走者の男子生徒が、トラックの所定の位置にスタンバイした。

撮影用のドローンも、一台が、第一走者の上空にスタンバイした。

40代と20代の女性教諭が散布用に用意したドローンも、第二走者の上空にスタンバイしていた。

スターターの先生が、「位置について 用意! ドン!」と言って、ピストルを鳴らし、第一走者の女子生徒達が、一斉にスタートし、第一走者の上空にいたドローンもスタートした。

それと同時に、第二走者の上空にいたドローンも第二走者にあの薬を散布し始めた。

第二走者に散布が終わると、控えている男子生徒にも散布し始めた。

男子生徒たちは、薬が撒かれたことに全然気づかなかった。

一年の時と同様、二年、三年の時も散布された。

三年生のリレーも終わり、閉会式も終わり、無事に終わったように思えた。

「汗かいたから、シャワーを浴びていかない?」とある男子生徒が、女口調で、前の生徒に言った。

「そうね」と女口調で、男子生徒が振り返って言った。

「え?」と二人の男子生徒が言った。

「あなた、誰?」とお互いに言った。

「何、言ってるのよ。 あれ?声が何かおかしいような…」と振り返った男子生徒が言った。

「あなた、男の子でしょ?」と最初に声をかけた男子生徒が言った。

「え? そういうあなたも、男の子でしょ?」と振り返った男子生徒が言った。

二人とも自分の身体を見下ろして、「キャーッ!」と悲鳴をあげた。

同じように、至る所で、低い声の悲鳴が上がった。

「おい、どうしたんだ!」と男性教諭達が、地面に座り込み、顔を隠して、泣いている生徒達の元に向かう。

その男性教諭達の上空に、ドローンが現れ、男性教諭達に撒いたのだった。


少し離れたところで、20代の女性教諭が、「うまくいきましたね」と40代の女性教諭に言った。

「そうね。これで、明日の今頃には、完璧な女子高生になってるわね」と40代の女性教諭が言った。

「はい」と20代の女性教諭が言った。


体育祭翌日。

一人の男子高生が、高校に向かって歩いていた。

彼は、昨日の体育祭を風邪で休んだ、20代の女性教諭の弟である。

彼は、登校途中にあることに気がついた。

高校に向かう道中、いつも以上に、女子高生が多いことに。

しかも同じ制服で、違うところは、胸元のリボンの色くらいだ。

歩く女子生徒が、チラチラと彼の方を見ていた。

学校の校門前に着いて、彼は、愕然とした。

女子高生達は、男子高であるはずの学校の敷地内に入っていくのだ。

しかも校門前には、生徒指導の先生であろう女性教師が立っていた。

校門の看板を見て、さらに愕然とした。

看板には、『県立第二女子高等学校』と書かれていたからだ。

彼は、「何故?」と呟いた。

そう、ここは、一昨日までは、男子高だったのだ。

その時、昨日のドローンが、彼の上空に来て、薬を撒いたのだった。

すると、彼は、「いけない。 もうこんな時間。早く入らないと遅刻しちゃう」と言って、早歩きで、校門へと向かう。

しかし、「ちょっと。あなた」と校門の前にいる先生に止められた。

「はい」と低い声で答える止められた男子生徒。

「あなた。ここ女子高ですよ」と校門前に立っていた先生が言った。

「あたし、ここの三年生ですけど」と止められた男子生徒が答えた。

「何言っているの?あなた、男の子でしょ?」と先生が言った。

「え?」と言って身体を見下ろして、悲鳴をあげた。

「あたし、男の子になっちゃった」と男子生徒が言った。

チャイムが鳴り、先生は、門を閉めたのだった。

彼は、仕方なく、トボトボと家に帰った。


家に帰り、「ただいま」と挨拶をした彼を、「あら。お帰り。どうしたの?」と彼の母親が言った。

「お母さん。 あたし、男の子になっちゃった」と泣きながら言う男子生徒。

「何言っているの? 女の子みたいな話し方して。あなた、男の子でしょ。まだ熱があるのかしら」と彼の額に手を当てて言う母親。

「熱なんか無いよ。お母さん、あたしが、朝まで、女の子だったの忘れたの?」と言う男子生徒。

「何言ってるの。あなたは、産まれたときから男の子でしょ。熱は、無いみたいね。一応、今日も休みなさい。学校には、休むと言っておくから」と母親が言った。

「そうする」と男子生徒が言って、玄関を上がり、階段を上がっていった。

部屋に戻ると男物の服と女性アイドルのポスターがあり、朝までの自分の部屋とは、全く違うものになっていた。

制服を脱ぎ、パジャマに着替え、ベッドに入り、一日中泣いたのだった。


翌日。

ポニーテールを靡かせながら、一人の女子高生が、歩いていた。

第二女子高校の制服を着た、昨日まで、20代女性教諭の元弟だった生徒である。

友達を見つけた、彼女は、小走りで、駆け寄り、「おはよう」と声をかけた。

「おはよう。もう風邪は、大丈夫なの?」と声をかけられた女子高生が言った。

「ええ。二日間休んだから、すっかり良くなったよ」と20代の女性教師の元弟が言った。

二人で、一緒に学校に向かった。

そうこうしている内に、学校の校門前に着いた。

学校の校門の前に立つ先生に、二人は、「おはようございます」と元気よく挨拶をして、敷地内に入っていく。

「おはよう」と校門前に立っていた先生が言った。


その日の夕方。

場所は変わり、第一女子高校の化学準備室。

「こちらが、昨日の私の弟の部屋、風呂場とリビングの様子を納めたテープです。身体の変化と周囲の人の認識の変化が、ある程度わかると思います」と20代の女性教諭が言った。

「分かったわ。ありがとう。見てみましょう」と40代の女性教諭が言った。

二人で、昨日の20代の女性教諭が、隠し撮りしていた映像を見始めた。

「あの薬は、成功でしたよ。朝には、身も心もほぼ完璧な女性になっていました」と20代の女性教諭が言った。

連載予定

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