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ソロモンの禁書 〜知ってから考えるタチでして〜  作者: 川井田ナツナ


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0:この禁書にキミは何を書き残す?

 何の因果か地下迷宮へと迷い込み、一年がかりで辿(たど)り着いた迷宮の最奥には、演説台の上に一冊の本が置いてあった。


 古代文字に精通している彼女クレハにも、どの時代の言語なのかも分からない文字で刻印された表紙。


 ゴクリと唾を飲み込み、本を開いたが何も書かれていない。


 ページの厚みだけは充分にあるその本を何十ページめくった頃だろうか。

 真ん中に一文、こう書かれていた。



『この禁書にキミは何を書き残す?』



 ――と。


 *


 禁書しかり、この世の中には知らない方が幸せなものは腐るほど存在する。

 知れば知るほど、当初いだいていたロマンなどはただの絵空事のようなもので、待っているのは揺るぎないリアルだ。


 だがそれでも、クレハが知ろうとすることを辞めれないのは現実(ロマン)があると信じたいからなのかも知れない。



「クレハ・グレイランス! 起きなさい、まだ授業中ですよ」



  魔法史の教授イザベラが教壇から声をあげた。

 なおも眠り続けるクレハを、前の席に座る幼馴染みのソフィが慌てて起こす。



「クレハ! クレハったら起きて」

「……ソフィ? ん?? なんで教室???」



 彼女が目覚めたのは二十年前の、季節が秋から冬に変わり始めた肌寒い、イチョウが黄金色(こがねいろ)に色づき始めたある日だった。

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