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52. 『はじめての“おしごと体験”──みんなの夢って?』

ある日、園でこんな掲示が出た。


【おしごとたいけん び】

“すき”なものをえらんで、やってみよう!

•せんせい

•おはなやさん

•くすりやさん

•まほうやさん(※園限定)

•きしだん(※ぬいぐるみ使用)


 


「……きしだん?」


ぼくは、ぬいぐるみのミミルを抱いたまま首をかしげた。


どうやら「自分の将来なりたいものを“ちょっとだけ”体験する」日らしい。


 


「ルカ様はどれにするんですか?」


レオンくんがキラキラした目で聞いてきた。


「うーん……」


迷った末、ぼくが選んだのは──


「“せんせい”……かな」


 



 


当日、ぼくは小さなエプロンを着て、

「せんせい係」の名札をもらった。


役割は、みんなが迷ったときに「どうしたい?」って聞くことと、

「うん、すてきだね」って伝えること──だって。


 


最初はちょっと緊張したけど、

ノアくんが「お花屋さんです!」って元気に言ったとき、

すごく嬉しくて、思わず拍手しちゃった。


 


カインくんは「くすりや」だった。

でもなぜか、持ち込んだポーションで園児の風邪が本当に治って、

園長先生が本気で驚いていた。


 


ユリウスくんは「まほうや」だったけど、

みんなに魔法の講座を始めて、逆に大人たちが真剣にメモしていた。


 


レオンくんは……「きしだん」。

ミミルに向かって「そなたを守る騎士、ここに誓うぞ!」と叫び、

その場にいた園児全員が「キャー!」となった。


 


(……すごいな、みんな)


 


ぼくは、ただ笑って、見守っていた。

だけど先生が最後に言ってくれた。


「ルカくんは“先生の先生”だったよ」


「えっ?」


「“ほめる”って、とってもむずかしいの。

 でもルカくんは、みんなの“好き”をそのまま大事にしてたね」


 


ちょっとだけ照れて、ミミルの耳をぎゅっと握った。


 



 


その夜の魔法カレンダーの言葉:


『すきって言える勇気と、

 すきって言ってくれる誰かがいること。

 その両方が、未来の光になる。』


 


──こうして園の“おしごとたいけん日”は、

“全員が主役だった日”として記録されることになった。


 


そして翌日、園児たちはひそかにこう話しあっていた。


「ぼく、将来ルカ様の秘書になりたい!」

「わたしはお花係!」

「僕はルカ様のおやつ係!!」


 


(ちなみにルカ本人は「全部ミミルがやってくれると思う……」と小声で言っていた)


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