49. 『この庭が、ぼくの世界とつながる場所』
空中庭園ができてから、何日か経った。
最初に来た日はびっくりして──
ミミルと一緒に天井の星を見上げたまま、いつの間にか眠ってしまった。
でも今日は違う。
今日は、**“みんなと一緒に過ごすため”**にここに来た。
◇
空中庭園の扉が開くと、
先に着いていたユリウスくんが、そっと微笑んだ。
「ルカ様、今日は……その……いっしょに本、読んでもいい?」
「うん。きてくれて、ありがとう」
レオンくんは、ミミルのサブベッドに座りながら、
「こんな場所、ひとりで使ってたらもったいないもんね」と笑った。
でもその目は、ちょっとだけうるんでいた気がした。
ノアくんは庭の小道に魔法でお花を咲かせて、
「ここ、僕が飾っていい?」と小さく聞いてきた。
「もちろん。ぜんぶ、ぼくの“たいせつな人たち”の場所だもん」
◇
カインくんは──
黙って、ブランコの支柱のネジを一つひとつ点検していた。
「……この前より揺れが安定してる」って、顔をそらしながら。
ぼくは、ありがとうって言ったら、
「……べつに、お前のためにやったわけじゃねぇし」って返ってきた。
でもその背中は、ちゃんと優しかった。
◇
みんなで過ごす空中庭園は、
風の音も、魔法の香りも、ふしぎと柔らかく感じた。
それぞれが、思い思いの時間を過ごしていたけど、
なぜか──“ぼくの隣にいる”って感覚がずっとあった。
ああ、ここはきっと、
“誰かの心がつながる場所”なんだ。
◇
夕方、みんなが帰ったあと。
ひとり、ブランコに揺られながらミミルを抱いて空を見た。
「……なんだかね、空って、さみしいときと嬉しいときで、色が違って見えるんだね」
ミミルは静かに光りながら、
風に乗って揺れる葉を見つめていた。
◇
魔法日めくりカレンダーの翌日の言葉に、こう記された。
『帰る場所ができたら、 そこに人が集まる。
人が集まれば、想いが生まれる。
その想いが、世界を優しく変えていく』
空中庭園は──
もう、ぼくひとりの場所じゃない。
ここは、“ぼくと、みんなの、やさしい世界”なんだ。




