表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/59

45. 『ぼくのうたが、街じゅうに届いた日』

「ルカ様、最近“歌”を口ずさんでいらっしゃいますね?」


先生にそう言われたのは、園のお昼寝の時間のこと。


 


うた?


 


──あぁ、あれだ。

ミミルを抱きながら、ときどきぼくが自然に出るあの音。


リズムも、言葉も、メロディもバラバラ。

でも、ぼくが落ち着くから、つい口ずさむ。


 


 



 


ある日、おつかいで訪れた街の薬草店。


そこに、寝込んで泣いてる子どもがいた。


その子に、思わずぼくは──歌ってしまった。


 


「ふわふわ まほうの そらのした

 ねむれ ねむれ やさしい こころで」


 


その子は、涙を止めて、ふっと眠った。


そして、それを見ていた人が──つぶやいた。


「……ルカ様の歌、魔法だ」


 


 



 


それから街では、

“ルカ様のうた”が、少しずつ広まった。


パン屋さんが鼻歌まじりに真似をして、

花屋さんが子どもの寝かしつけに歌い、

兵士たちが任務の前に、そっと口ずさむようになった。


 



 


園でも、みんなが「ルカのうた歌いたい!」って言ってくれて、

自然とみんなの前で歌う機会が増えた。


 


でも、ぼくがいちばんうれしかったのは──


 


「歌詞、紙にして残しといてくれ」


そう、パパが言ってくれたこと。


「騎士団でも使う。任務の前に聞いたら、みんな士気が上がるらしい」


 


「うちの魔法陣にも組み込むわよ」ってママまで。


 


 



 


ある日。園に、見知らぬ“高位魔導士”が訪れた。


王宮の者だと言っていた。

どうやら、ぼくの歌が、王宮まで届いたらしい。


 


 



 


夜。ミミルに歌ってあげながら、ぼくはこう言った。


「ねぇ、ミミル。ぼくの声って、どこまで届くと思う?」


 


ミミルは、ふにゃっと笑ってこう言った気がした。


──『世界全部に届くよ』


 


 



 


語録には、こう書いた。


『心を込めた声は、魔法よりも強いかもしれない。

 それは、相手を変えなくても、癒すことができるから。』


 


おやすみ、世界。

また明日も、だれかにやさしくできますように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ