44. (レオン視点②) 『この距離は、守るためにある──不器用な僕の恋心』
ルカ様が「おつかい」で街に行ったと聞いた時、
最初に思ったのは、「なんで俺じゃなかったんだ」だった。
次に浮かんだのは、
「また、誰かに見つかって惚れられるんじゃないか」って不安だった。
◇
俺は、ちょっとだけ体が大きい。
力もある。声も低い。
だから、園でも「頼れるタイプ」って見られる。
……けど、ほんとは違う。
「触れたい」って思うたびに、
自分の手が“でかすぎて壊しそう”で、怖くなる。
◇
帰ってきたルカ様は、いつも通りに笑ってた。
──それが、いちばんつらい。
「すごかったよ! パン屋さんに惚れられて、
宝石屋さんには“髪の毛1本ください”って言われて……」
……やっぱり惚れられてんじゃねぇか!!!
◇
でもその夜、偶然、ルカ様の語録ノートを見た。
『惚れられるより、笑わせたい。
持ち帰られるより、“また会いたい”って思われたい。』
その文字を見て、胸がじんってなった。
──ああ、やっぱりこの人は、“人たらし”なんかじゃない。
「また会いたい」って思わせるのは、
この人の優しさが、光の温度をしてるからなんだ。
◇
次の日、俺はルカ様に、お菓子を作って渡した。
ごまかすように言った。
「べ、別に……お前がまたモテてもいいように、腹ごしらえさせとこうと思ってな」
ルカ様は、くすっと笑ってこう言った。
「じゃあ、今日の“また会いたい”は、レオンくんにあげるね」
──もう、好きだ。どうしようもなく。
でもこの気持ちは、“押しつけない”って決めてる。
◇
日記にはこう書いた。
『好きだからこそ、触れない勇気がある。
守るための距離って、きっとあるんだ。』
明日も、隣にいられたら、それでいい。




