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43. 『“おつかい”に行って、100人から求婚された話』

「ルカ様、今日は“園のおつかい”代表に選ばれました」


 


え……ぼく、ですか?


 



 


園では、定期的に“魔法植物園で育てた薬草”を街の市場に納品してる。


今日はそのお手伝いで、代表園児がひとり、園服のまま街に行くの。


 


まさか、自分が選ばれるなんて。


 


「だって、ルカ様が行ったら、誰も怒らないじゃないですか」

先生が言った。


「あと、たぶん10人くらいは惚れますね」ってノアくん。


「10人どころか、100人じゃすまんぞ」ってレオンくん。


「……行くな」ってカインくん。


 


 



 


ぼくは小さな袋を持って、魔法団の人と一緒に街へ出た。


 


石畳の道に、焼きたてのパンの匂い。

きらきらのアクセサリー屋さん。元気な声が飛び交う市場。


──ぜんぶ、わくわくする。


 


ぼくは笑顔で、納品する薬草を渡した。

すると、お店の人が目をぱちくりさせて言った。


「……この子、ほんまもんのルカ様や!!」


 



 


そこから、すごかった。


お店の人がざわめき、隣の人が駆け寄り、

いつの間にか周りに100人以上の人が集まってた。


 


「ルカ様! うちの息子のお嫁さんに!」「いいや、うちの家に養子に!」


「せめて、指一本だけでも握っていただけませんか!?」


 


 


ぼくは、ミミルをぎゅっと抱いて──にこっと笑った。


 


「みなさん、ありがとう。でも、ぼくは、だれのものにもならないんだ。

 でも……だれかの“おひさま”には、なれるかもしれないから」


 


──静まり返る空気。


そして、みんなが目を潤ませて、頭を下げた。


「……さすが、ルカ様や……」


 



 


帰り道、魔法団の人が言った。


「あなたは、ただの園児ではありませんね。まるで、光の精霊のようだ」


 


でもぼくは、ただのルカ。


 


ただ、「ありがとう」と言いたかっただけ。

「好き」って言われたら、ちゃんと「好き」って返したいだけ。


 


日記にはこう書いた。


『惚れられるより、笑わせたい。

 持ち帰られるより、“また会いたい”って思われたい。』


 


ミミルが、ふにゃっと微笑んでくれた気がした。


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