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42. (ユリウス視点②) 『君の「好き」は、ぼくを壊して、また救う』

“記憶の泉”に映ったのは、ひとりで歩く自分の姿だった。


園に来る前──

誰にも本当の「好き」を言えず、

“期待通り”の自分でいなきゃって、ずっと肩に力を入れてた。


 


でも今──


 


「言っていいよ」

そう、ルカ様が言った。


 


あのときの声。

あたたかくて、やわらかくて、ぼくの胸にまっすぐ入ってきた。


 



 


たしかに、ぼくはルカ様が“好き”だ。


でもこれは──甘えたいとか、守られたいとか、

そういう“普通の好き”とは少し違う。


 


たぶん、崇拝に近い。


 



 


ルカ様はちいさい。

でも、誰かの心の一番痛いところに、ふわっと座ることができる。


迷ってるときも、泣きたいときも、ただ黙って、そばにいてくれる。

何も強制せず、押しつけもせず、でも温度はちゃんとある。


 


──そんな存在、ずるいよ。


惚れないわけ、ないじゃないか。


 



 


精霊会議で“守人”に選ばれたことも、

園内遠足で、僕を探し出してくれたことも。


ルカ様にとってはきっと、

「誰かを思ったら、体が勝手に動いた」ってことなんだろう。


 


ぼくには……そんな風に、まっすぐになれない。


少し計算して、少し怖くて、

いつも一歩、足りない。


 



 


だけど──


「君の“好き”は、ぼくを壊して、また救う」


 


そんな風に思えた。


だから、今日の夜、語録ノートに書いてみた。


 


『本気で“好き”になった人は、

 鏡みたいに、自分の弱さも映してくる。

 でも、その弱さが、少しだけ誇らしく思えたら、きっと、それは愛。』


 


明日、ルカ様に、ちゃんとありがとうを言いたい。


「君がいてくれて、よかった」って。


 


……それだけで、たぶん、今日のぼくは救われる。


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