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40. (カイン視点②) 『“隣にいるだけで泣ける”なんて、ずるいよ、ルカ様』

──精霊会議。


それを聞いたとき、俺は最初、胸が高鳴った。


「すげぇな、ルカ様。やっぱり、選ばれた人だ……」って。


 


でもすぐに、その高鳴りが、しんと冷える焦りに変わった。


 


“……俺は、ただ見てるだけだった”


 



 


ルカ様は、泣いてる誰かの手を迷いなく握る。

ケンカしてる園児の間に、ぴょこんと割って入る。

大人たちにも、魔法団の精霊たちにも、堂々と向き合う。


 


──俺は?

いつも、ルカ様の後ろで、見てるだけじゃないか。


 


「守りたい」って言ったくせに、

いざとなると、言葉も、行動も、足りない。


 



 


夜。園の帰り道、こっそりルカ様の影を見つけて追いかけた。


 


光の精霊に祝福されたあとでも、

ルカ様は──ほんの少し、疲れた顔をしてた。


 


ミミルをぎゅっと抱きしめて、ベンチで座ってる。


……隣に座って、何も言わずに一緒に空を見上げた。


 


ルカ様が、ぽつりと呟いた。


「ほんとはね、まだ少しだけ、こわかったの」


 


「……でも、みんながいてくれるって思ったら、

 ぼく、ちゃんと光でいられる気がしたの」


 


 


──涙が出た。


「ずるいよ、ルカ様。隣にいるだけで、泣けるなんて」


 


気づいたら、手を伸ばして、ルカ様の手を握っていた。


小さくて、あったかい。


 


「……いつか俺が、精霊に選ばれなくてもいい。

 でも、お前の隣には、いたい。

 この手を、話さないでいたい」


 


ルカ様は、にこっと笑った。


 


「カインくんの手、すごくあったかいから、大丈夫だよ。

 ぼく、ずっと忘れない」


 


 


その言葉で、また泣きそうになった。


 



 


日記にはこう書いた。


『憧れは、嫉妬に変わる前に、誓いに変えよう。

 この手は、守るためにあるって、忘れたくないから。』


 


明日も、ルカ様の隣で。

手を離さないって、心に決めた。


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