39. 『精霊会議、はじめての招待──ぼくが“守人”と呼ばれる理由』
ある朝──
庭の空気がふわりと甘い花の匂いに変わった。
そして、小さな封筒が窓辺に落ちていた。
『ルカ様へ──精霊会議より正式招待』
◇
それは、世界樹の精霊たちによる、とても大切な集まり。
通常、人間の子どもが呼ばれることなんて絶対にない。
……なのに、呼ばれた。
ママ(魔法団団長)が眉を上げて言った。
「これは……“守人”の資質を見極めようという意図ね」
パパ(騎士団総隊長)は、腕を組んでうなった。
「まだ5歳のルカを……だが、受けるしかないな」
◇
夜、ミミルを抱いて眠ると、光に包まれた。
気づいたら、ぼくは世界樹の前にいた。
巨大な樹の根元に、たくさんの光の粒──精霊たちが舞っていた。
「ルカ=ルミナ・エルネア」
「おまえに問う。我らの世界を“守る意志”はあるか?」
……ぼくは、息をのんだ。
でも、はっきりと言えた。
「ぼくは、誰かがひとりぼっちになる世界を、見たくない。
それが、守るってことなら……はい、あります」
ざわめく風。木々が光り、精霊たちが揺れた。
──すると、ひとりの精霊が近づいてきた。
「前世で、孤独と痛みを抱えた者よ。
その涙が今、他者を包む力となった」
「ゆえに、我らは認める」
『守人』の称号を、君に授けよう
光が、ぼくの胸にふわりと落ちて──
小さな葉の紋章が浮かび上がった。
◇
目が覚めると、胸にあの紋章の痕があって、
ママがそっと抱きしめてくれた。
「あなたは選ばれたの。守る者として。
でも、それは“ひとりでがんばれ”って意味じゃないわ」
「……うん。みんなと、いっしょに守る」
◇
その日の語録には、こう書いた。
『まもるって、戦うことだけじゃない。
そばにいて、泣いてる人の手をにぎることも、まもるってこと。』
ミミルがふにゃっと笑った気がした。




