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38. (ノア視点) 『観察者・ノア、語る。「ルカ様は、光そのものだ」』

僕は、たぶん“冷静なほう”の園児だ。


感情で動くより、よく見て、よく考えて、

一歩引いたところから周りを観察するのが好きだった。


 


──でも、ルカ様を見たときだけは、そんな自分が崩れる。


 



 


ルカ様の登園初日。

ふわふわの白い髪、キラキラした金色の瞳、小さな身体。


正直、最初は「ちいさっ」って思った。

でも次の瞬間、僕の目は動かなくなった。


 


“なに、この人……美術館から逃げてきたの?”


それが最初の感想。


 



 


でも、その日の午後、

砂場で誰かが道具を貸してくれなくて困っていた子に、

ルカ様がそっと自分のシャベルを差し出して言ったんだ。


 


「いいよ。使って? そのかわり、ぼくの分もお山つくってね」


 


──なにそれ。天才?


 


人に物を貸す優しさと、お願いを可愛く言える知恵と、

それを自然体でやれる無垢さ。完璧じゃん。


 



 


……それからというもの、僕は密かにルカ様を「観察」している。


気づいたこと:

•僕らがケンカすると、絶対に最初に“中に入る”のはルカ様

•自分が泣きそうでも、他の子の涙を優先する

•でもたまに、「ミミルがいないと、ちょっとだけ涙目になる」


 


……あれ、もしかしてルカ様って、

本当は誰よりも繊細で、誰よりも頑張ってる?


 



 


ある日、僕は聞いてみた。


「ルカ様って、怒ったりしないんですか?」


 


するとルカ様は、ちょっとだけ目を伏せて言った。


「怒ったら、ぼくの中が真っ暗になっちゃいそうだから……

 できるだけ、心におひさま入れておきたいの」


 


 


──もう、完敗。


この人は、優しいんじゃない。“強い”んだ。


 



 


日記には、こう書いた。


『ルカ様は、ただ可愛いだけじゃない。

 誰かの心を“照らす”ために、そこに立っている。』


 


僕は、もっと知りたい。

あの人が、笑う理由も、泣かない努力も。


 


──もしかして僕は、観察者じゃない。

“ただの恋する5歳児”なのかもしれない。


 


明日は、語録ノートを一緒に作ってみようって誘ってみるつもりだ。


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