36. (レオン視点) 『俺だけはルカ様の笑顔に“独占欲”がある(ごめん)』
はじめて見たときから、
ルカ様は「天使」だと思ってた。
──いや、違う。
“神”かもしれない。
いやもう、なんか……よく分かんないけど、とにかく、完璧だった。
◇
ルカ様は、俺がはじめて“好き”になった人だった。
でもこの気持ち、
なんかユリウスたちとはちょっと違うって、最近思う。
ユリウスはたぶん「お姫様」扱い。
カインは「守ってあげたい」ってやつで。
ノアは「冷静に愛でてる」って感じで──
……でも俺はちがう。
“ルカ様の笑顔が、誰かに向くのがイヤだ”って思っちゃう。
◇
この前なんて、ルカ様がノアと手をつないでたの見て、
なんかムカッとして……
無言でお絵かき帳を破いた(先生に怒られた)。
あと、ルカ様がカインに
「ぬいぐるみありがとう」って言ってたの聞いて、
こっそり自分でも作って持ってった(ボンドで手がカピカピになった)。
──こんなの、ふつうじゃないって分かってる。
でも、止まらない。
◇
昨日、勇気を出して言ってみた。
「ルカ様、俺……あの、ちょっとだけ、他の人としゃべってると、胸がギューってなるんだ」
そしたら、ルカ様はちょっと困った顔をして、
でもすごくやさしく笑って──
「レオンくん。
ぼくはね、たぶん──ぜんぶ、あげるけど、
ぜんぶ、だれのものにもならないんだよ」
……心が、ずきんってした。
でも、それと同時に。
「そっか……ルカ様って、そういう存在なんだな」って、思えた。
◇
俺はたぶん、
「自分のために笑ってほしい」って思ってたけど。
でも、ルカ様は
「みんなの心にそっと光をくれる人」なんだ。
俺は、もっと強くなろう。
もっともっと、ルカ様の隣に立てるように。
◇
日記には、こう書いた。
『好きって、時々せつない。でも、
“この人をちゃんと愛せる自分”になりたいって思える。』
──明日は、ルカ様に内緒で花束を作って渡す予定。
ぜったい、俺の手で作るんだ。




