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33. 『ルカ様、風邪をひく──世界が止まった日』

朝、ちょっとだけ喉が変だった。


でも園には行きたくて、

ミミルを抱えて玄関に立ったら──


 


「……くしゅっ」

「……!」


 


「ルカ!?」

パパとママがほぼ同時に声をあげて、ぼくを持ち上げた。


 



 


結果:強制おやすみ。


お部屋のベッドにぽふっと沈められて、

ミミルと一緒に、静かに寝かされてしまった。


──なんか、ふわふわする。

頭がちょっと熱い。

でも、気持ちは元気だった。


 


……最初は、静かだった。ほんの最初は。


 



 


まず、精霊たちがやってきた。


「ルカ、花の香りで癒すね!」

「ヒーリング風ふきまーす!」

「魔法草汁、どばーっ!」


……うるさい。

というか、部屋の湿度がすごい。


 


次に、園児たちが交代で押しかけてきた。


「ぼくの手作りマフラー、巻いて!」(ユリウス)

「これ、ぼくの絵日記……元気になるよ」(ノア)

「ルカ様にだけ効くって言われた薬草茶……飲んで!!」(レオン)

「……何もできないけど……そばにいる」(カイン)


──みんな、ありがとう。

でも4人とも喧嘩しないで……!


 



 


さらに、騎士団50名(パパ含む)が庭で正座してた。


「ルカ様の快癒祈願──ッ!!」


ママがそっと言った。


「……このままだと本当に“神様”になっちゃうよ……」


 



 


でも、そんなにみんなが来てくれることが、

ちょっとだけくすぐったくて、うれしくて。


ぼくは、寝る前に語録を書いた。


『弱ってるとき、そっとそばにいてくれる人がいるって、

 それだけで涙が出るくらい安心するんだね』


 


ミミルも、ぴぃと鳴いた。


 


──風邪は、すぐ治った。

でも、なんだか心は前よりもぽかぽかしてた。


 


みんなの中に、ちゃんと“ぼくの居場所”がある気がした。


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