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30. 『ルカ様を知らない新入園児が転園してきて、園児たちがザワついたけど最後は全員泣いた回』

その日、園はそわそわしていた。


先生「はい、今日から新しいおともだちがきますよ〜!

ルカ様のクラスに入ります!」


 


──ドアを開けて入ってきたのは、


短く刈った銀髪、無表情な瞳、そして──

両手をポケットにつっこんだ、妙に大人びた少年。


「……カインです。よろ」


 


空気、ピリつく。


ユリウス(小声)「あのテンション……ルカ様と正反対……」

レオン「自己紹介が“よろ”って初めて聞いた……」

ノア「ミミルが一瞬かたまった……」


 



 


カインくんは、座っても誰とも目を合わせず。

休み時間はひとりで木陰にいた。

話しかけても、「べつに」「知らん」ばかり。


──でも。

ルカは、気にした様子もなく、そっと近づいた。


 


「……こんにちは。ルカだよ」


カイン「……見りゃわかる」


「うん。でも、“こんにちは”って言いたかったから」

ルカは、にこっと笑った。


 


──カイン、無言。

……でも、少しだけ頬が赤くなったように見えた。


 



 


昼食後の語録タイム。


ルカは、ふとカインのほうを見て言った。


「さいしょは、しらないことがいっぱいで、こわいよね。

でも、“ここにいていいんだ”って思えると、すこしずつ笑えるんだよ」


 


カインの手が、ぎゅっとテーブルを握った。


 



 


翌朝。


カインは無言でルカの隣に座り、

ミミルをなでたあと、小さく言った。


「……これ、おまえの横に置いていい?」

手には、小さなメモ帳。


 


そこには、こう書かれていた。


『きみの「こんにちは」が、ぼくをつれてってくれた』


 


ミミルが光った。


園児たちが目を潤ませて見ていた。


ユリウス「なんか……泣きそう……」

レオン「え、もう“仲間”じゃない……?」

ノア「これは……ルカ様、またひとつ心を救ってしまった……」


 



 


その日の園便りにはこう記された。


《園長コメント》

「子どもが変わる瞬間って、誰かのやさしさがふれたときなんですね。

今日はその奇跡を見ました。」


 


その夜、ルカはミミルにこう言った。


「うれしかった。“こんにちは”って、すごい魔法かもしれないね」


──語録はこう記された。


『とびらをひらくのに、ひつようなのは、大きな力じゃなくて、ちいさな声だった』


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